活動報告

第12回例会卓話「マイナンバーについて」

2015年09月25日

「マイナンバーについて」      
荒木 秀会員

いよいよ今年10月から個人番号(以下:マイナンバー)の通知が始まり、来年1月から利用が開始されます。私は神奈川県中小企業組合連合会様を始め、全国各地の商工会議所・商工会・法人会等でマイナンバー制度のセミナー講師をさせて頂いておりますが、残念ながらマイナンバー制度のことはまだまだ十分に理解されておらず、準備はこれからという企業様が非常に多いと思います。是非本日の卓話が皆さんのお役にたって、マイナンバー制度の理解と準備が進めば幸いです。
マイナンバー制度は同じ人の情報を色々な機関でそれぞれバラバラに保管管理しているのを、マイナンバーという「鍵」で同一人物の情報であることの確認を行う仕組みです。今まで非常に非効率になっている行政の仕組みを、この制度により効率性透明性を高め、利便性の高い社会を実現するためのインフラとなることが期待されています。
今後発行される個人番号カードを使うことで、コンビニで住民票や印鑑証明・戸籍謄本が取得できるほか、マイナポータルを使って税の申告や社会保障の手続きが簡素化されるようになります。恐らく確定申告のために税務署に行くことは無くなっていくでしょう。また個人番号カードをクレジットカードやキャッシュカード、ポイントカード、診察券としても使えるようになる見込みです。さらに運転免許証や健康保険証との一体化、ネットでの選挙の投票も可能になるでしょう。役所や公共料金などの引っ越し手続きがマイナポータルにおいて一度に簡単に済ませることが出来るでしょう。個人番号カードで世界最先端のIT技術のもとに非常に便利な世の中になっていくことが期待されています。
今年の10月以降、マイナンバーが記載された通知カードが住民票の住所地に簡易書留で送られてきます。以下のことに注意して急ぎ対応してください。
住民票の住所地と現住所が違う場合は、9月中に住民票を異動すること。
震災による被災者、DV被害者、長期入院者など、住民票の住所地で通知カードを受け取ることができない事情がある場合には、9月25日までに市町村で手続きを行ってください。
通知カードは紛失しないように厳重に保管するようにしましょう。
今後のマイナンバー制度で実現できる多種多様なサービスを受けるためには、個人番号カードを取得しなければなりません。個人番号カードはプラスチック製で表裏の両面があります。表面には、氏名・住所・生年月日・性別と顔写真が掲載されます。表面は身分証明書として活用していくことになります。裏面には個人番号(マイナンバー)と氏名が掲載され、またICチップが搭載されます。個人番号カードのICチップには、税や年金の情報などプライバシー性の高い情報は記録されませんので、それらの情報はカードからは判明しません。ICチップに入る情報は、カードに記載されている情報や公的個人認証の電子証明書等に限定されています。
個人番号カードの取得は義務ではありません。しかし保有することで利便性が間違いいなく向上しますので、取得することをお勧めします。取得の方法は以下の通りです。
①通知カードが届いたときに入っている申込書に必要事項を記入し、写真を添えて郵送で申し込む
②申込用紙の内容をパソコンやスマートフォンを利用してネットで申し込む
③市町村の窓口で申し込みをし郵送で受け取る
従来は①②③の方法のみ考えられていましたが、市町村の窓口で行う確認作業等で一人当たり30分程度かかると予測されるために、以下の④⑤の方式が考えられました。
④勤務先企業が従業員の申請書を取りまとめて市区町村に提出し、個人番号カードの受取は従業員個々人が市区町村の窓口に赴いて、本人確認をした上で交付を受ける方式
⑤勤務先企業が従業員の申請書を取りまとめて市区町村に提出し、市区町村の職員が企業の方に赴き従業員の本人確認をし、個人番号カード自体は郵送で送付されてくる方式
 ではマイナンバーを使ってどんな手続きをするのかを見ていきましょう。大きく分けると社会保険の分野と税の分野で使っていきます。会社(事業者)は従業員や扶養親族、税理士等報酬を支払う相手のマイナンバーを取得し、社会保険関係の手続きや税務関係の報告書類にマイナンバーを記載します。また配当を行う株主や土地や建物などの不動産を賃借する個人家主からもマイナンバーを取得しなければならないとされています。
会社は従業員や関係者のマイナンバーを収集しなければなりませんが、その際に利用の目的を明示しなければなりません。明示しないで取得することと、明示した目的以外に利用することも禁じられています。そのため想定される利用の目的をまとめて従業員に明示しましょう。
 会社は従業員とその扶養親族のマイナンバーを集めなければなりません。その際に求められるのが確認作業ですが、正しい番号であることの確認(番号確認)と現に手続きを行っている者が番号の正しい持ち主であることの確認(身元確認)が求められます。確認の方法としては原則以下のいずれかの方法となっています。
①個人番号カード(番号確認と身元確認)
②通知カード(番号確認)と運転免許証など(身元確認)
③個人番号の記載された住民票の写しなど(番号確認)と運転免許証など(身元確認)
被扶養者の本人確認に関しては会社が行う必要は無いというのが原則ですが、被扶養配偶者を国民年金の第3号被保険者としている場合に関しては、会社が本人確認を行う必要があるとされています、その場合は従業員本人を代理人とすることが出来るので委任状を取ればよいとされています。

 マイナンバーを利用した手続きが開始されるのが来年1月からになります。ただ当初は入社退社する手続きに利用するだけなので限定的です。本格的に利用するのは平成28年末の年末調整時になるでしょう。それぞれの分野によって利用の開始時期も違いますので、下記に整理します。
税分野 平成28年1月1日以降の提出分より
雇用保険 同上
健康保険・厚生年金保険 平成29年1月1日以降の提出分より
上記はあくまでも予定です。というのも、日本年金機構の個人情報漏えい事件により年金関係の手続きにマイナンバーを記載する時期が遅れる可能性が指摘されています。国民健康保険組合については、平成28年1月1日より各種届出にマイナンバーを記載します。給与所得の源泉徴収票はA6版の横型からA5番の縦型に拡大し、番号を記載する欄が3か所増えています。一番上には給与を受ける従業員のマイナンバーを、真ん中には扶養親族のマイナンバーを記載します。一番下には支払者の番号を記載するので、法人の場合は法人番号、個人事業主の場合はマイナンバーを記載します。ただし一番下の番号を記載するのは、税務署に提出する源泉徴収票だけですのでご注意ください。
 マイナンバーの利用は税と社会保障と災害対策の3つに限定されています。法律で定められた目的以外の利用は禁じられていますので注意が必要です。例えば社員番号をマイナンバーにするなどはしてはいけません。仮に本人の同意があったとしても法律で禁じられています。
 マイナンバーは必要がある場合だけ保管し、必要が無くなったら廃棄削除しなければなりません。保管は関係者だけが利用できるように厳重に保管をしなければなりません。鍵付の書庫やサーバー上で特定の人だけが入れるフォルダに格納するなどが必要です。
保管の期限は、雇用し続けている間は当然ですが、退職後においてもマイナンバーの記載書類が法律で定められている保管期限の間は保管し続ける必要があります。一番長い保管期限は税関係の法定書類で、退職した翌年の1月10日から7年間とされています。保管期限を過ぎた書類を廃棄をする際には、クロスカットのシュレッダーや溶解処分にて速やかに廃棄をしなければなりません。
 今までマイナンバーの取得から廃棄に至るまでの流れを説明してきましたが、整理すると図のようになります。ライフサイクル上のそれぞれの検討課題が右側に示されていますが、そうした課題・リスクに対応するために求められているのが安全管理措置です。
 安全管理措置はすべての事業者に対して要求されています。ただし中小規模事業者に対しては簡便な方法で良いとされています。中小規模事業者は従業員100人以下の事業者であって下記以外の事業者です。
委託に基づいて個人番号関係事務又は個人番号利用事務を業務として行う事業者(⇒税理士・社労士は少人数でもこれに該当)
金融分野(金融庁作成の「金融分野における個人情報保護に関するガイドライン」第1条第1項に定義される金融分野)の事業者
個人情報取扱事業者
安全管理措置は、基本方針と取扱の仕方を定めた上で、組織的安全管理措置・人的安全管理措置・物理的安全管理措置・技術的安全管理措置の4つがあります。安全管理措置は会社の基本方針をどう決めるか、それによって対応策が決まるでしょう。基本方針が定まらないで業者の言いなりになるのだけは避けたいものです。アナログに徹して対策を取るのも規模と事業内容によってはお勧めです。
 マイナンバーに関する業務の一部を委託している場合があります。税理士さんや社労士さんなどはその典型です。委託先にて漏えい事故が発生した場合の責任は当事者はもちろんですが、委託した会社側も同様に責任が発生します。税理士さんや社労士さんは大企業と同様の安全管理措置が求められていますので、安心して業務を委託できる先であるかどうかを確認するのも大事な準備の一つです。会社にとっては従業員が安心して会社にマイナンバーを預けられる体制をとることが大事です。しっかり準備をしていきましょう。


活動報告一覧へ戻る

Top