活動報告

第16回例会卓話「横浜市地域サポートモデル事業」

2015年10月23日

「横浜市地域サポートモデル事業」のご案内      

認定特定非営利活動法人 育て上げネット
若年支援事業部担当部長 安藤博子

私は、東京の立川に本部を置く、認定NPO法人育て上げネットの安藤と申します。
貴重なお時間を頂戴しまして、誠にありがとうございます。
本日は、皆様に今の若者の現状を知っていただきたいと思い、やって参りました。

1.若者の現状
15歳~39歳の若者のうち、約200万人が無業状態にあると言われており、それを総数で割ると、約16人に一人となります。
40人学級で考えると、その中の2人強が若年無業者、という計算になります。
「若年無業者」には、
「求職型」と言われる、求職活動を行っている人、
「非求職型」と言われる、就業希望を表明しながらも、求職活動を行っていない人、
「非希望型」と言われる、就業希望を表明していない人が含まれます。

また、働けない若者が生活保護を受給することになるとすると、生涯で一人当たり、1億~1億8千万円にも及ぶ可能性があります。
一方、彼らが正社員で働けば、2億~2億5千万ほどの生涯賃金を得ると同時に、1億~1億8千万円ほどの税金や社会保険料を納め、また、4~5千万円相当の医療や介護、年金などの社会保険料を受けとります。
それを差し引きすると、生活保護を受給した場合と、働いた場合とで、一人あたり、約1億2千万円~1億5千万円ほどの「コストギャップ」が生まれることになります。
それを「200万人で掛ける」と、最大で300兆円にも及ぶということになります。

私どもがこのような若者の話をさせていただくと、「若者なのに無業とはどういうことか?」「怠けているのではないか?」、「そんな若者は、ほっておけば良い」とおっしゃる方がいらっしゃいます。
でも、この数字を知っていただくと、ほって置いたら大変なことになる、ということをお分かりいただけるのではないかと思います。
そこで、私共は、2001年の設立以来、主に15歳~39歳の若年無業者の支援を行っており、彼らが「社会的所属を獲得」し、「働く」ことと、「働き続ける」ことを実現出来るよう、サポートをしています。
無業状態になった若者には、「働く」、つまり「職を得ること」が大切ではありますが、それがゴールではありません。
彼らが「働き続ける」ことを支援することも大切な要素となっています。
また、将来、無業となることを予防するため、高校生に対しては「金銭教育」を、生活保護世帯や生活困窮世帯の小中学生には、「学習支援事業」も行っています。

若年無業者の中には、「ほとんど家から出ない状態が6か月以上継続している」、いわゆる「ひきこもり状態」の若者も含まれます。
横浜市の調査によると、横浜市内には、「ひきこもり状態」の若者が8千人ほどおり、その親和群(予備軍)となると、5万2千人にも及ぶと推計されています。

では、なぜ、彼らは、ひきこもり状態や、無業者になったのでしょうか?
私共が支援している若者を見ていると、きっかけは、大きく3つに分けられるようです。
①何らかの理由で、小中学校の時に不登校となったり、高校や大学を中退したりして、そのまま、ひきこもってしまったケース
→ いじめや家庭環境など、本人の努力では解決できない課題が原因となっているケースも少なくありません。
②高校や大学を卒業したものの、就職活動に失敗し、そのままひきこもったり、無業状態が継続しているケース
→ 特に、就職氷河期に卒業年度が重なった若者など、100社受けても1社も内定が取れず、そのうち、「自分は社会から必要とされていないんだ」と自信を失い、動けなくなった若者も少なくありません。
③一旦、就職したものの、職場への不適合などから退職し、そのままひきこもったり、無業状態が継続しているケース
→ こちらも、パワハラなど、本人の努力では解決できない問題が原因となっているケースも少なくありません。
このように、彼らの多くは、それぞれの時期に、何らかの大きな精神的な傷を負い、躓いてしまったのです。

では、彼らをサポートするために、どのような支援機関があるのでしょうか?

2.多様な若者支援機関
そんな彼らの自立を後押しするため、厚生労働省は2006年より全国に地域若者サポートステーションを設置し、若者の就労に向けた支援を行っています。
現在、サポステは、全国に「約160箇所」設置されており、横浜市内にも2か所あります。
また、横浜市では、2007年よりユースプラザという、若者の「居場所」施設を設置しており、2012年3月によこはま東部ユースプラザが鶴見に開所しました。現在、西、南、北、東の「4箇所」のユースプラザが設置され、「ひきこもり状態」から脱しつつある若者に「居場所」を提供しています。

日本で支援施設というと、子どもや、女性や、障害者や、高齢者を対象とした施設は多くありますが、「若者」を対象とした施設は、殆どありませんでした。
ところが、横浜市は、昭和38年に「横浜市青少年相談センター」を設置して、不就学児童や不登校児の支援を始め、今年で52年目となります。
この取り組みは、先進的なものとして、全国から注目されてきました。
現在では、ひきこもり状態にある若者や保護者の相談などに対応しています。

こうして、横浜市では、「ユーストライアングル」と言って、「横浜市青少年相談センター」、「地域ユースプラザ」、「地域若者サポートステーション」が連携して、若者の支援に当たっています。
ひきこもり状態の若者が「青少年相談センター」で相談し、やがて、家以外の「居場所」を求めて「ユースプラザ」で過ごすようになり、やがて、「若者サポートステーション」で就職活動の支援を受けるというものです。

3.よこはま東部ユースプラザの役割
4つのユースプラザは、それぞれ異なる団体が横浜市からの補助金を得て、運営しています。そのうちの「よこはま東部ユースプラザ」は、私共「育て上げネット」が2012年3月より運営しています。
東部ユースプラザ=通称「東プラ」は、家から出られるようになった若者が、就職活動を始める「自信」を付けるための「通過点=プラットフォーム」となる事を目指しています。
まずは、家以外の場所で過ごせるようになり、家族以外の人=スタッフと話ができるようになり、そして、同じような状況の仲間と一緒に様々なことをして過ごすようになり、やがて、自分に「自信」を付けて、次のステップに進めるようになるのです。
その一環として、「東プラ」では、多様な「社会体験プログラム」を用意しています。その一つが、「郵便局」での「仕事体験」です。

4.横浜市地域サポートモデル事業のご案内
このように、様々な取り組みをしてはいますが、横浜市にいるとされる8千人の「ひきこもり状態」の若者や予備軍5万2千人の若者すべての支援が出来ているわけではありません。
そこで、横浜市では、今年度から「地域サポートモデル事業」として、地域の方々を対象に、広く現状をお伝えするセミナーを開催しています。
私共、東部ユースプラザが開催しているセミナーは、以下の内容となっています。

「地域で若者たちを支える~私に出来ることは?~」
若者の現状を知る、関心を持つ 7回連続無料セミナー
・若者の現状を知る
・多様な若者像を理解する
・若者の体験談を聞く
・社会体験の事例を知る
・家族を支えるには
・若者との関わり方を学ぶ

7回連続セミナーは、あと4回(10月31日、11月14日、11月28日、12月12日)鶴見コミュニティハウス(11月14日のみ鶴見区社協研修室)にて、開催する予定です。ご興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、是非、よこはま東部ユースプラザ(℡045-642-7001)までご連絡をいただけますと幸いです。

本日は、皆様に貴重なお時間をいただき、困難を抱える若者の現状と、支援機関の役割をお伝え致しました。お近くに、困っている若者がいらしたら、「こういうところがあるよ」と是非伝えていただきたいと思います。
また、企業や団体の皆様には、「社会体験」の場を若者達に提供していただきたいと思います。お近くに、ご協力いただける方がいらっしゃいましたら、是非、ご連絡をいただけますと幸いです。

私共は、若者支援は、困難な若者の保護施策ではなく、社会投資だと考えております。
一人でも多くの若者が、自立に向けた一歩を踏みだせるよう、ご協力をいただけますと幸いです。

本日は、誠にありがとうございました。


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