活動報告

第35回例会卓話「100歳からのフェイスブック」

2016年03月18日

スマートシニア・アソシエイション代表 牧  荘様



【はじめに】
本日は伝統ある横浜東ロータリークラブの皆様とお目にかかる機会をいただき、誠にありがとうございます。本日は「100歳がはじめたフェイスブック」~高齢化社会の新しいシニアライフ(副題)~ということでおはなしをさせていただきます。日本は、今や世界で最も長寿の国と言われていますが、本当に幸せな長寿の社会になっているのでしょうか。これからどういう社会になっていくかも含め考えてみたいと思います。



【超長寿社会とフレイル】
皆様はご自身が人生の区分の中でどこに位置しているか考えたことはおありでしょうか。静岡県が昨年発表した人生区分によりますと、老年というのは77歳からです。ご自身がどこに属するのか、今までの認識と比べてみてください。おそらく自分はもう年だと考えていたものの、区分ではまだ壮年だったという方が少なくないはずです。
2014年に男性の平均寿命も80歳を超えました。私が社会人となった時の男性の平均寿命は65歳、会社の定年は55歳、定年後10年生活していくための貯えがあれば余生が過ごせるというライフプランでした。現在では、その65歳をとっくに超えて人生の未体験ゾーンに入っています。日本の長寿社会が出現していくトレンド(グラフ参照)はいつ飽和するのでしょうか?



いわゆる「2025年問題」(団塊の世代が75歳で後期高齢者入りする年)が社会問題として頻繁に取りざたされるようになりました。2025年には、日本の高齢化率(総人口に占める65歳以上の人口割合)は30%を超えるといいます。世界中が、今後、高齢化社会になると言われている中でその先陣をいく日本の動向は注目されています。誰もがご長寿で、高齢化社会となることは素晴らしいことですが、私自身がこの真中にありながら、果たして長く生きることが社会や自分のために良いことなのか考えさせられます。




「フレイル」という言葉をお聞きになったことがありますか。寿命には二つの定義があります。「健康寿命」と「平均寿命」です。「健康寿命」とは自立して他人の援助なく生活できる状態にあることです。人間の体はその後、次第に脆弱化、虚弱化していきます。すなわち壊れていくのです。これを「フレイル」と呼ぶことが一昨年老齢医学会で定義されました。
健康寿命を伸ばし、この「フレイル」をいかに短くしていくかがこれからの課題です。

【認知障害・孤独・孤立】
加齢が進み、最後の死を迎える過程を「加齢のダウンスパイラル」という図で示しました。この過程でより重要なポイントが「認知障害」です。社会的孤立は主としてこの「認知障害」によって起きてしまうのです。また、東京大学医学部の先生が示した「長生きの秘訣」には長生きする為のいくつかの条件が示されていますが、その中で最も大きな要因が「つながりがある」即ち、「社会的な接点」の存在です。年齢と共に「つながり」が減少し、最後は孤独、孤立することが重要な課題なのです。あるシンクタンクでは、70歳後半からシニアの自立度が低下するということを「社会的つながりの縮小期」と言っています。そしてその要因の一つにシニアのICT(情報技術)活用の低さであると報告しています。




【超高齢化と高度情報化の融合】
子育てが終わり、孫も育ち、最早、がんの話、薬の話も目新しい話題ではなくなります。
そして、最大の関心事は「認知症」です。そしてどうしたら自立、自活のシニアライフを送れるのか。また、どう人生の「終活」をできるか。その為に更に「何を創めたら」いいのかです。今、社会は「超高齢化」と「高度情報化」を迎えています。この両者の融合には今まであまり論じられていませんでした。しかし、今や「超高齢化」と「高度情報化」の融合なしに高齢社会の存在はあり得ません。多くのシニアはテレビ時代に育ってきました。これからは益々シニアライフに情報技術が不可欠になっていきます。皆様は、今、この高齢社会をどう認識され、その発展の中にあり、情報技術に対してどう思っていらっしゃいますか?




【シニアのSNSの世界】~100歳が始めたFacebook~
さて、ここで一つの事例を紹介させていただきます。平均年齢71歳の一万人の全国組織でのSNS(ソーシャルネットワーク)での事例です。聖路加病院元理事長の日野原重明先生が100歳(現在104歳)の時にSNSを提唱され、自らがFacebookを通じて情報発信をやりたいということで私がそのお手伝いをすることになりました。果たして先生のような超高齢者が安心・安全にインターネットを使って繋がりを持てるのかが最大の心配事でした。日野原先生は、パソコンもワープロも使ったことがないアナログ派でしたが、iPadを使っての音声入力で毎日のメッセージをFacebookに載せられるようになりました。100歳の先生が始められたインパクトは絶大でした。日野原先生が毎朝Facebookにアップされる「日めくりカレンダー、今日の一言」は毎日数千人の人々にアクセスされています。「ネット上でいったいシニアが何を語っているのか」という質問を受けます。世代を超え、地域を超えての交流はリアルの世界では得られない交流となっています。




【大きく変わる認知症への認識】
「私は認知症です」と公表された佐藤さん(60歳男性)は、「若年性のアルツハイマー病」と診断され、どん底まで落ち込んでいましたが、情報技術を使うことで失われた機能を補完するということに挑戦されました。その結果、今や健常人と同じような生活を取り戻すことに成功し、自立した毎日を送られるようになりました。そして、ご自身の認知症経験をFacebookでの発信や書籍を出すことで多くの方々に大きな勇気とインパクトを与えています。







長年にわたる研究結果によって、長寿社会と共に増大していく認知症への不安も徐々に克服されつつあります。認知症は、生活習慣病の一つで、予防し、進捗を止める、治せる時代がもうそこまで来ているのかもしれません。健やかで毎日の生活楽しくなるような世界が現実化していくと思います。次回は、更にこの新しい長寿社会をどう作りだせるかの事例を下にお話したいと思います。     以上



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