活動報告

「これでもう認知症も大丈夫」

2016年04月15日

「これでもう認知症も大丈夫」
牧アイテイ研究所代表  牧 壮様

【はじめに】皆様こんにちは。
今回再び卓話の機会を頂き誠にありがとうございます。
先月の卓話では急速に進む高齢化社会でどういった社会問題が起きているのかお話させていただきました。2025年問題、即ち現在の団塊の世代が75歳以上になる年には後期高齢者が人口の30%を超え、医療費などの社会保障負担をどうするか、介護や支援する体制はできるのかといった現実をお話いたしました。また一方では情報技術の発展によってシニアにも優しい情報端末やSNSなどのアプリが提供されるようになり、シニアのインターネット活用のハードルも低くなりました。

先月はこういった環境にあって「認知症」になり人生の前途に希望をなくした方が、失われていく機能を情報技術の活用で取り返し、活き活きとした人生を送っておられる事例をご紹介いたしました。本日はそのあたりをもう少し詳しくお話させて頂き、長寿になりフレイル(健康寿命と平均寿命の間で虚弱化していくこと)をいかに防ぎ自立・自活できるシニアになれるかの実例についてお話したいと思います。

【この一ヶ月の出来事】
先月の卓話から一ヶ月、この僅かな間にも高齢化社会の問題について新聞紙上やインターネット上で色々な課題が報じられました。介護職員の極端な不足、介護予防のデイサービス業がなくなるのではないかといった話です。いずれも高齢化して行く社会にどう生きていけばいいのかを更に考えさせられる記事です。認知症になれば誰かの世話にならざるを得なくなります。これらの記事から教えられることは高齢者になっても自立して自活することがいかに大切かということではないでしょうか。

一方この一ヶ月の間に我々のFacebook仲間で埼玉に在住のSさんはご自身のFacebookページで感動的に書いたことは、自分が住んでいる埼玉から、一人で切符買って東京駅で新幹線に乗換えて大阪へ行き、講演をしてホテルに宿泊して戻ってきたこと、春物の洋服を自分で選んで買えたこと、そして読みたかった本をアマゾンから買えたことで新たな自信ができたということでした。彼が3年前に「私は認知症患者です」と言ってFacebookとiPadの勉強会に来られた頃は一人で都心での勉強会まで来ることが出来ず誰かが途中まで迎えに行っていたのです。まさに素晴らしい自立を果たしたのです。


【認知症のSさんは何を考えたのか】
SさんがFacebookやiPadをはじめようとしたきっかけは、「認知症になって失われていく機能はいろいろあるがすべてが失われたわけではない。もし残された機能が何かで補完されればまだまだ色々なことができるようになるのではないか」と考えられたことでした。

彼はFacebookで認知症として自らの生活ぶりや困っていることなどの情報発信を始めました。これに対し多くの「コメント」や「いいね」が寄せられるとともに認知症に関与している方たちとの交流も始まりました。彼はFacebookで社会との新しいつながりを構築したのです。

彼は、時間的概念が薄れることをiPadのアラーム機能などを利用して管理し、食事をしたことを忘れるのでiPadで写真を取り、何を食べたかの記録を残すことにしました。即ち失われていく「記憶」機能をiPadの持つ「記録」機能で代替したのです。この2つの彼の行動は社会からの孤立・孤独からをなくし、認知症者は何も出来なくなるという従来の定説を根底から覆したのです。更に彼はそのことを本にしました。

彼の行動や執筆した本は、同じような境遇にある方たちに大きな力を与えることとなり、その仲間たちとの連携が始まりました。そして行政を動かすまでになると、同時にマスメディアの注目を集め新聞やテレビに出演し、今や海外からの取材を受けるまでになっています。
また彼の話は認知症の方ばかりでなく健常人、又は高齢の親を持つ若い人たちにも大きなインパクトをもたらしています。

【シニアのための情報ツールiPad】 
Facebookやインターネットを利用するには何か情報機器が必要になります。
我々はiPadを用いることとしました。iPadはパソコンに不慣れなシニアにとって、非常にハードルの低いコンピューターなのです。一方で、iPadは、パソコンには無い沢山の機能を持っています。まさに目、耳、口を備えた持ち運びのできるコンピューターなのです。さらに、人工知能を持ち今やメールも言葉で指示するだけで送ることが出来ます。また内臓のカメラを使って遠くの友人ともテレビ電話もできます。しかもお金はかかりません。例え歩くことができなくなってももはや孤立して孤独になることはないのです。これこそが認知にならないためのiPadの大きな効果なのです。


【認知症はもう怖くない】
従来から高齢になれば認知症は仕方ないものと考えられていましたが、最近の定説では「認知症は生活習慣病の一つ」と言われるようになりました。認知症は、努力すれば予防でき、また初期の段階であれば治癒することや進行を遅くできることが立証されてきています。
このSさんの事例もそれを見事に立証した一つです。現在、健康寿命と平均寿命には約9〜10年のフレイルの期間がありますが健康寿命を伸ばし、いかにこのフレイル期間を短くできるかが健やかな長寿社会の構築の大きなポイントではないでしょうか?
【人生100歳時代へ向かって】
人生100歳時代はもう夢の話でなく現実化してきています。世界で冠たる長寿国の日本ですが、長寿であることが個人的にも社会的にも幸せなものことでなければ長寿国である意味がありません。インターネットなどの情報技術を活用してのシニアライフは新しい世界を創り出すでしょう。最後に、2回にわたってiPadや高齢化社会についてお話させていただきましたが、一つでも新しい気づきがあり、皆様のお役に立てれば嬉しく存じます。ご静聴感謝申し上げます。



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