活動報告

第26回例会卓話「税について他」

2017年01月20日

「税について他」

巻田佳樹会員




〈音読み「ぜい」 訓読み「みつぎ」「ちから」など〉
3日前になりますが、実は交通事故に遭いました。消防車・救急車が出動するような大きな事故でしたが、奇跡的にかすり傷ひとつなくこの場所に立つことが出来ました。感謝しながら本日の卓話を担当したいと思いますので、最後まで宜しくお願いいたします。

 昨年、プログラム委員長の小原さんから、確定申告も間近に控えているし、税についての卓話をお願いしたいとのお話がありました。税金について30分の卓話は聞いている側がかなり辛いと思いましたので、本日の内容は「税について他」としております。

 それでは先ず、この「税」という文字のもつ意味を少し説明させて頂きます。左側ののぎへんは、穂先が垂れかかる稲の象形と言われ、右側の上の部分はふたつに分かれているものという象形で、下の部分は口と人の象形となっております。諸説あるとは思いますが、自分の収穫の中から抜け落ちる穀物を意味し、これが年貢や税金をあらわすものになったようです。

 私共が所属している税理士会では、地域の小学校に租税教育として税金とは何か?と教えに行く機会があります。「みんなの中で税金を払っている人」と聞くとほぼ全員が手を挙げ、どんな税金を払っているかを聞くときちんと「消費税」という答えが返ってきます。小学生でも理解しているこの税金は、生活の中で様々な形で納められていますが、その必要性や重要性を人生や経営の中で十分考慮し、本当に必要な税金を払うことが必要ではないかと思います。梯子を登る男という話があります。一生懸命梯子を登って上まで行ったとき、こんな程度の景色だったのかと後悔するよりも、その梯子をどこにかけるかが重要という話です。価値観の話をするときに用いる話ですが、納税についても同じことが言えるのではないかと思いご紹介しました。

 さて間もなく、確定申告のシーズンが到来します。私共税理士にとっては一年で一番慌しい季節です。2千万円を超える給料の方、給与所得以外の所得のある方、ふるさと納税・ロータリー財団や米山記念奨学会に寄付をした方、医療費のある方、住宅ローン等で新たに住宅を取得した方等々、確定申告をなさる方は大勢いらっしゃると思います。ご質問等がございましたらお気軽に声をかけてください。また、平成21年若しくは平成22年に土地を取得して、昨年その土地を売却したのであれば、その利益から1千万円を控除できます。これは多くの税理士が忘れている特例ですので覚えておいて下さい。

 次に税制改正のお話をしたいと思います。例年とは異なり、大きなトラブルもなく成立した平成29年度改正ですが、改正項目については量も質も非常に乏しいものとなっております。財産評価の適性化や配偶者控除等の見直しなど、中小企業に影響を及ぼすものは少なく、その大部分は組織再編税制の見直しやタックスヘイブン税制の見直しなど、上場企業や大企業に影響を及ぼすものです。税制改正においては、税収を確保したい財務省と、経済成長を目的とする経済産業省との間で駆け引きが行われていますが、アベノミクスの成果が上がっているとは言えない昨今、税収の確保よりも経済成長を求める思いが政治には強くあり、結果として経済成長に重きを置いた税制改正になったのではないかと考えられます。

 さて、税金についてのお話は以上とさせて頂き、ここからの時間は「他」の部分の話となります。私が税理士の資格を取得した際、当クラブの会員でもいらっしゃる石渡さんに、「勉強しなさいよ」と言われました。何を勉強するのか?そこまで言及はされませんでしたが、私共税理士は、お客様である会社の経営者にとって役立つには存在でなければならず、それを考えると決して会計や税法の勉強をしても特に役に立つとは思えず、試行錯誤しながら「経営」について勉強をしております。まだまだ勉強の最中ではありますが、本日は「経営のキモ」を4つご紹介したいと思います。

 一つ目はB/S経営のススメです。会社の決算が終わり、現預金は増減しているのか、借入金は増減しているのか、更には現預金を4つに色分けして会社の真実を見ます。売上高・粗利益・一般管理費・平均回収サイト・平均支払サイト・平均在庫日数、これらの1日・1%の怖さがあるのです。①気付かないうちに1日・1%悪くなったか、②意識して1日・1%良くなったかにより大きな差が出るのです。実際にお客様の経営計画を作成した際の数字をご紹介します。①の場合の5年後の概算キャッシュ・フローは△270,095千円となり、②の場合の5年後の概算キャッシュ・フローは+214,619千円となり、その差は四億八千万円にもなります。P/Lというものの考え方だけではこの事実はわかりません。

 また、B/Sが強くなると、・銀行金利が下がる、・無借金経営が見えてくる、・長期で考えると大変な金額の経費削減(支払利息)になる、・資金繰りで悩む時間も必要もない、・スピードの時代です!常に先手で思い切った手が打てる、・借入れせずに社長の退職金を出すことが出来、節税にもなる等々のメリットがあり、どんなB/Sにするか?を考えると経営者の発想が変わります。最終的には企業価値の向上に繋がるのです。

 二つ目は節税の「レベル」と「種類」です。節税にも色々ありますが、これを3つのレベルに区分してみます。Lv.1利益も資金も減少する節税(保険、レバレジットリース等)、Lv2.利益は減少するが資金は減少しない節税(減価償却、除却損等)、Lv.3利益も資金も減少しない節税(税額控除等)です。種類としては2つに分けられ、Lv.1の節税は繰延節税であり、Lv.3の節税は永久節税です。節税をするのであれば、企業価値が低下する節税ではなく、企業価値の向上に繋がる節税をするべきです。

 三つめは税務調査です。皆さんもご経験があると思いますが、税務調査は、時間もとられるし精神的にも決して良いものではありませんよね。出来れば税務調査など無いほうが良いのではないでしょうか。税務調査に来ないようにする方法…。「税務調査に来られないような書面添付をお願いします」と顧問税理士にお願いしてみましょう!書面添付とは、税理士法33条の2で「税理士又は税理士法人は、…申告書を作成したときは、当該申告書の作成に関し、計算し、整理し、又は相談に応じた事項を財務省令で定めるところにより記載した書面を当該申告書に添付することができる」と規定されている書類であり、これが提出されている場合には、税理士法35条で「税務官公署の当該職員は、添付書面が添付されている申告書を提出した者について、…、当該税理士に対し、当該添付書面に記載された事項に関し意見を述べる機会を与えなければならない」と意見聴取を規定しています。国税庁による「事務運営指針」においても、①事前通知前の意見聴取を行った結果、調査の必要がないと認められる場合には税務調査を省略する。②添付されている書面により、税務調査の対象となるか否かの判断材料とされる。という内容が読み取れます。つまり、良質な書面が添付されている場合には、調査の対象からはずす結果となるのです。

 四つめは出口戦略です。会社の出口は5つしかありません。①上場、②事業承継、③M&A、④清算、⑤倒産、です。①と⑤は別とし、通常ですと中小企業は、②の事業承継が一般的な出口となります。「いつ」「誰に」、「何を」「どのように」後継者に移すのかが事業承継ですが、後継者が不在となっている昨今です。中小企業の場合、その数は約7割に達し、廃業が倒産を上回る状況となっています。残る出口の③と④。事業継続の出口はどちらでしょうか、事業や技術、ノウハウを守ることが出来るのはどちらでしょうか、従業員の雇用継続、得意先・取引先に迷惑をかけないのはどちらでしょうか、会社が継続され、名前も残る可能政もM&Aにはあります。

 最後は宣伝になってしまいますが、全国の税理士でネットワークを組み、Mergers&Acquisition(合併と買収)ではなく、MARRIAGE&ALLIANCE(結婚と同盟)という理念のもとでM&Aに取り組んでいる財団で私もいくつかの事案を手掛けております。その際に一番キモとなるのは企業価値です。
ここにいらっしゃる会員の皆様は、既に長い間経営に従事され、企業の発展に貢献なさってきた本物の経営者です。本日の話など十分ご理解されていることと思いますが、何かひとつでも役立つ情報があれば幸甚と存じます。更なる企業価値の向上を常に心掛け、元気な日本を作って頂きたいと念じます。
 最後までご清聴頂き有難うございました。

(卓話後記)前日の新年会でのお酒で喉がやけてしまい、お聞き苦しいところが多々あったかと思います。申し訳ありませんでした。(決して二日酔いではありません!)


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