活動報告

第31回例会卓話「木の復活と住宅」

2017年02月24日

「木の復活と住宅」

ナイス(株) 勝間田清敏様


横浜東ロータリークラブの皆様 日頃、大変お世話になっております。
本日はお声賭け下さり誠にありがとうございます。
「木の復活と建築」と題しお話しさせていただきます。


【住まいの耐震博覧会・木と住まい大博覧会】
さて、2月3~5日に東京ビッグサイトで行われた「住まいの耐震博覧会2017年・東京」では、66,331名というご来場をいただきました。4月以降の顧客動向を予感する展示会として見ていましたが、大変素晴らしい成果となりました。そして、林野庁をはじめ多くの木材・建築関連機関の講演のもとで開催した「木と住まいの大博覧会」では、各地域の優良な木材による構造材や内・外装材、家具材の展示や木をふんだんに用いたインテリアとエクステリアの空間とともに、中・大規模木造建築物の取組みを具体的な事例で紹介させていただきました。この背景には日本の森林、木材活用という大きな潮流が存在します。

【建築用木材利用の背景】
日本の木材利用は1955年に閣議決定された「木材資源利用合理化方策」によって抑制され、1959年に日本建築学会によって発表された「木造禁止決議」で止めを打たれた形となりました。これらは、戦後復興における都市の不燃化や、樹齢10年以下の人口林が大半を占めていたことによる木材資源枯渇への危機感などを背景として決定されたものです。この動きにより、木造に関する大学教育をはじめ、住宅以外の木造建築物は消滅に近い状態となり、民間の大工・工務店が「木造住宅」、ゼネコンが鉄筋コンクリート造の「公共建築物」という2極化が進んでしまいました。木材消費の抑制に始まった戦後と言えるでしょう。しかし、木材利用を推奨する大きな転換点がようやくやってきたのです。
2009年に農林水産省は「森林・林業再生プラン」を発表し、2020年までに日本の木材自給率を50%まで引き上げることが掲げられました。そして、極めつけは2010年に施行された「公共建築物等木材利用促進法」です。国が整備する公共建築物のうち低層のものについては原則として木造化、内装については規模にかかわらず木質化を図ることが盛り込まれました。この背景には、国土の約68%が森林という先進国第3位の森林大国「日本」の実力と国際的に期待される「木材」が持つ環境性能への関心の高まりが重なっています。日本は年間約1億㎥(東京ドームの約80個分)の森林が増加する一方、約2千万㎥しか使われていないのが実態です。「木材」は、光合成によりCO2をたっぷり吸収して成長し、吸収されたC(炭素)は伐採されて「建築用木材」となってからも、ずっと蓄積され続けます。そして、「木材」は住宅や家具をはじめ、様々なものに形を変えて利用され、その後はバイオマス燃料として活用されるなど、リサイクル率がとても高いエコロジー素材です。CO2排出を減らす作業と、CO2吸収を高める作業(木造住宅を建てたり、森をつくったり)を担う「木材」への期待とともに、日本の役割も大きく変わってきたのです。

【建築物に高いCO2削減目標】
2015年12月、フランスのパリで開かれた国連会議(COP21)で採択された協定「パリ協定」では、2020年以降の地球温暖化対策の枠組みが定められました。日本は2030年までにCO2 26%削減(2013年度比)を公約しています。その鍵を握るのが39.4%もの削減を求めた家庭部門です。このままだと、2300年には産業革命前と比べ平均8℃、北極の平均気温は17℃も上昇すると言われています。日本はCO2排出量が世界第5位の大国です。住宅や非住宅部門において、高い省エネ目標が掲げられたことにより、省エネ基準義務化に向けた動きの加速とともに、エコロジー素材「木材」への期待が一段と高まりました。

【ナイスグループの貢献】
このように、世の中の大きな潮流とともに、木構造建築物のニーズは高まりを見せています。そこで、ナイスグループでは2016年10月1日、中・大規模木造建築物の企画から設計、資材調達、施工、アフターメンテナンスまでワンストップで対応する建設事業本部を立ち上げました。当該組織は、弊社が全国16カ所で運営する木材市場を拠点とした木材調達ネットワークをはじめ、弊社グループによる製材やプレカット加工、構造計算、オリジナル工法、物流といった木造建築に関するあらゆる機能に加え、40年以上にわたるマンション開発のノウハウなどを集約させることで、建設会社や木材・建材販売店、設計事務所、行政機関などの中・大規模木造建築に関する様々なニーズにお応えしています。
具体的には全国で老人保健施設や学校・園舎、店舗などの木造化のお手伝いをしており、2014年には弊社オリジナルの「パワービルド工法」と「燃えしろ設計」の組み合わせによる約3,000㎡の特別養護老人ホーム、2016年にはベルギーで延床面積約7,000㎡の大規模複合老人ホームを手掛けました。最近では、学校法人「栄光学園」の校舎建替え事業を㈱日本設計・大成建設㈱とともに手掛けています。さらに、東日本大震災の津波で大きな被害を受けた「南三陸さんさん商店街」の移転新築工事にも参画しています。この工事は、市街地再生の中核を担う㈱南三陸まちづくり未来(社長:三浦 洋昭氏)が進める「南三陸町まちなか再生計画(復興庁認定事業)」の一環で、隈研吾氏がグランドデザインを手掛けています。新しい商店街は、約10メートルかさ上げされた復興市街地に造られた約6,000㎡の敷地に、木造の店舗棟6棟(延床面積3,085㎡)が建設されます。また、宮城県多賀城市において、2011年3月11日・東日本大震災で6m津波に襲われ壊滅的な被害を受けた「ナイス仙台物流センター」の事務所棟新築工事を推進しています。日本では先導的となるCLTと鉄筋コンクリート造の混構造を採用し、宮城県初のCLT建築物としてCLT実用化に向けた建築基準整備に活用される予定です。
「木材」は軽くて強い資材であることから、かつてより住宅などに多く用いられてきました。コンクリートなどに比べ、高い断熱性を誇ることから、木質化した室内は冬は暖かく夏は涼しく感じられます。空気中の湿度が高い時は水分を吸収し、湿度が低いときには水分を放出するという調湿作用もあり、結露を抑える機能にも優れます。また、抗菌作用を持つため、ダニやカビの発生を抑制するなど、健康面に寄与する効果も含まれます。
さらに、木材は特有のぬくもりや弾性を持ち、音を適度に吸収したり、目に有害な紫外線を吸収するなど、人に心地よい感覚を与える素材です。そして、木の香りにはリフレッシュ効果や鎮静効果もあると言われています。
内閣府による世論調査では、小学校や中学校の校舎や、病院、老人ホーム、遊具などにおいて木材利用が望ましいとする多くの声が公表されるなど、健康で快適な生活空間の形成に向け、建築物木造化への機運が高まっているのです。

【沖縄で木造住宅】
最後に、木造住宅比率が極端に低い「沖縄県」における木造一戸建住宅へのチャレンジをご紹介します。沖縄県における木造住宅のシェアは全国平均56.4%に対し、わずか23.8%という状況です。ここには、沖縄県特有の課題、①シロアリ対策、②暑さ対策、③台風対策、④近海サビ塩害対策が存在します。一方、鉄筋コンクリート造は熱を通しやすく、夏は暑く、冬は寒く、結露が多くなるというデメリットのほか、最近ではコンクリートにもシロアリ被害が及ぶようになっており、沖縄県民の住宅に対する悩みは根深いものがありました。このような沖縄県民の住宅への悩みや潜在需要に応えるため地元企業と合弁会社を立ち上げ、「沖縄県」に受け入れられる木造住宅を検証・スタートさせたのが「プレステージホーム沖縄」です。このとき、優位性を発揮したのが弊社の一戸建住宅「パワーホーム」の基本性能でした。耐震性能と省エネルギー性能において、長期優良住宅の認定基準を上回る最高等級を備え、「耐震性」や「断熱性」に代表される「命を守る」付加価値への拘りを「本質」とした木造一戸建住宅だからこそ、沖縄県の気候風土を考慮したカスタマイズが実現、供給をスタートさせることができました。立ち上げたばかりですが、順調に受注を増やしています。

【横浜のナイス】
弊社グループは、建築用木材の取扱いがルーツの会社です。世の中の大きな潮流をつかみ、自社の強みを活かしながら「木材の時代」に微力ながら全力で貢献してまいります。最後になりますが、ナイスグループは横浜市鶴見区に生まれ、ここまで成長させていただいた企業グループです。日本の住宅がもっと「素適」になるよう、専心努力してまいります。引き続きよろしくお願いします。本日はありがとうございました。



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