活動報告

第33回例会卓話「主役はミレニアル時代」

2017年03月10日

「主役はミレニアル時代」
~ファイナンシャル・インクルージョンとは?~

加藤 秀夫






 世界の人口は74億人に迫る勢いで増加しております。
1年に7,000万人が死亡し、1億3,000万人が誕生している計算になります。2015年の統計では、中国が13.7億人。インド13億人。アメリカ3.3億人と続きます。第4位がインドネシアの2.6億人。第5位がブラジルの2億人。日本は10位の1億2600万人。現在、この74億人の全員が幸せに、満足な生活をしているとは限りません。一説には全世界の富の半分以上は8人の人々に集中しているとされています。
しかし、このような環境下で新しい技術が次々と生まれ、急速に普及しています。とかく、人は「井の中の蛙」になりがちですが、現実を直視し、「今」という時代に生かされている事、これから始まるドラマに参加できることに感謝しましょう。
 本日は、これから起こる劇的変化、「近未来」について話をします。
演題のミレニアルという言葉から皆様はどのようなイメージを思い浮かべますか。
千年紀、千年に一度、お酒の名前ですか、スイーツの名前でしょうか。それとも、ホテルの部屋の名前でしょうか。ミレニアルルームなんて。一度は泊まりたい部屋ですね。ここで言うミレニアルは世代の事です。
1980代年から1990年代に生まれた世代の事をミレニアル世代と言います。年齢で言えば18歳~35歳くらいです。フェイスブックの創業者、マーク・ザッカーバーグ氏は代表的なミレニアル世代です。日本では ダルビッシュ有さん。浅田真央さん。又吉直樹さん。羽生結弦さん。
この世代の特徴は
①生まれた時からネットが存在しデジタルネイティブである。
②就職難を経験しているため、堅実でコストに敏感である。
③多様性を尊重し、健康や環境保護に関心が高く既存の権威に距離を置く。
そして、
①スマートフォンを持っている。
②就寝時も80パーセント以上がスマホをベッドの横に置く。(聖書より大事?)
③コミュニケーションにネットを使うことに抵抗がない。等々。




それまでの、ベビーブーマー(1946年~1964年)と言われた世代やジェネレーションX(1960年~1970年)と言われた世代とは明らかに違う行動や思想をしております。この現象をアメリカで観てみましょう。    
この人口階層は右がアメリカ、左が日本になります。
明らかに世代層の主役が違うことがわかると思います。表左上にも書いてあるとおり、アメリカは24歳が一番多く。日本は69歳であります。(2015年10月1日現在、総務省統計局)。この事実から皆様には何が見えますか?
そして、このミレニアル世代の行動は今後の社会・情報・金融インフラの将来に大きな影響を与えます。
アメリカのミレニアル世代1万人を対象に金融機関に対する考え方をまとめたデータによると

①銀行の話を聞くよりも歯医者に行く方がましだ。
②将来的に銀行が必要になる日が自分にくるとは思えない。
③グーグルやアマゾン、アップル、ペイパルスクエアが金融サービスを提供したら今までの銀行サービスより「ググッ!」とくる。

このアンケート結果は数あるアンケートの1つにすぎませんが、大きなキーワードになっています。

今年中に、フェイスブックのアクティブユーザ―が20億人を超えると言われ中国ではアリババが子会社を通じ金融事業に進出し成功している事実、支付宝(アリペイ)の利用者は4億5000万人を超えました。


 社会的に弱い立場にある人々を排除・孤立させるのではなく、共に支えあい生活して行こうという行動をソーシャル・インクルージョン(社会包摂)と言います。
そして、誰もが金融サービスを利用できる環境を整備する事をファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)と言います。
世界銀行では定義を、「全ての人々が経済活動のチャンスを捉えるためまた、経済的に不安定な状況を軽減するために必要とされる金融サービスにアクセスでき、それを利用できる状況。」としています。
皆様は驚く事かもしれませんが、世界経済をけん引しているアメリカでさえ約1億人の人々が銀行取引をする事が出来ず、金融サービスを受けられません。
他の国ではインド47%、インドネシア64%、フィリピン69%、ベトナム69%の人々は銀行取引が出来ず、金融サービスを受けることができません。
生産年齢人口の25億人以上が対象になっています。
また、インドの中小企業の90パーセントは銀行取引が出来ないデータもあります。
そして、この金融サービスとは             
①預金ができる口座。
②適正な金利で行われる融資。
③怪我や病気や死亡、また天候不順や不作に備えた保険。
④安全で素早い支払い、送金。と定義しております。
2009年 G20サミットで首脳宣言として「最も脆弱な人々への支援強化。」
2014年 G20 サミットでは金融包摂のための行動計画が採択されております。
アセアンでは金融包括に関するワーキンググループも設置されています。
 この、環境を劇的に変える技術として急速に普及しているのがスマートフォンを使ったフィンテックと言われる技術でありその技術を根底から支えるものがブロックチェーンといわれるものです。
インド政府は金融取引を普及させる事を重要な政策課題にしました。
識字率の低いインドでは書面を必要としない形での仕組み作りが求められます。
この政策の肝として80%普及率を超えた携帯電話ネットワークを利用した技術が革新をもたらすのです。
先進国アメリカではペイアクティブというサービスが登場し急速に拡大しています。雇用先の企業と提携してスマートフォン上に給与口座を開設するサービスです。この給与口座には従業員の給与がその働いた日数だけ振り込まれます。この口座はペイアクティブと提携するATMから現金が引き出せるほか公共料金の支払いや自動積立預金を行うことができます。
また、マイクロクレジットをいち早く実践しているバングラディシュ、グラミン銀行の創設者ムハマド・ユヌス氏は2006年ノーベル平和賞を受賞しています。
アフリカを中心に携帯電話のショートメッセージ(SMS)サービスを利用した送金ネットワークサービス。「M-PESA」。
アフリカや中央アジアなどの銀行ネットワークが脆弱な国、地域では人々の生活を支える社会インフラとして必要不可欠な存在になっています。
フィンテックによって、金融サービスを今までとは比べ物にならないくらい低いコストで迅速に利用することができます。そして、スマートフォンを利用した電子的な口座とデジタルマネーを組み合わせることでより高頻度の金融取引が可能になります。
これは既存の金融機関にとって大激震に見舞われることは必然です。
皆さん、世界中の金融機関の税引き利益が2014年に初めて1兆ドル(税引利益)を超えた事実を知っていますか。(2016年マッキンゼー&カンパニー社)。1兆ドル(税引利益)もの利益を計上できる産業がほかにありますか。トヨタ自動車でさえ2016年3月期の利益は2兆円台(税引利益)ですら、トヨタ自動車が50社必要になる計算です。
この莫大な利益を狙って多くの資金がフィンテック企業に流れています。
キーワードは・・・「いつでも、どこでも」。
①お財布はもたない⇒紙幣・通貨の発行、流通はなくなる。⇒国家によるデジタルキャッシュ時代の到来。
②金融取引に銀行はいらない。⇒支店営業はなくなる。
③送金料は、限りなくゼロ円。⇒特に海外送金料の大幅な低下。
④送金時間短縮。⇒外国間での送金も瞬時に行われる。
⑤事業立ち上げの資金は。
 ⇒クラウド・ファンディング、
 ⇒ソーシャル・レンディング。等々。
 魅力あるビジネスモデルは瞬時に価値を生む。
これからの金融サービスは利用者にとっては、とても便利なものになりますが既存の金融機関にとっては大変な時代の到来です。
マッキンゼー&カンパニー社は2016年のレポートで、今後10年間でフィンテックによって既存銀行の売り上げは40%減少し、利益は60%減ると指摘しています。
シティグループでは「デジタル化による破壊」というレポートでアメリカ銀行員の従業員数は2015年の257万人から180万人に減少すると予測しております。これは、金融サービスを利用する人々にとりましては「とても良い時代が来る。」という事です。
遅ればせながら、日本におきましても2016年5月25日に改正資金決済法が成立しました。
また同年12月28日には金融庁より仮想通貨法が成立したことによる「仮想通貨交換業者に関する内閣府令とガイドライン」が交付されました。
そして、いよいよ4月以降、この法律が施行されます。
ブロックチェーンという21世紀最大の発明とビットコインというデジタルマネーの出現は、戦後の金融システムを根本から変えるものです。
つまり「金融革命」が始まりました。
それは、いずれ100億人を超える全世界の人々にとって「いつでも、どこでも」平等に与えられる権利とサービスです。銀行、証券、生損保の関係者が金融業という衣を脱ぎ捨て自らがサービス業として生き残る決意を1日も早く表明し実行する事に期待します。
最後になりましたが、私は証券業界に35年以上在籍し座右の銘はありませんが座右の絵があります。
本日は皆様に座右の絵を紹介させていただき横浜東ロータリークラブでのスピーチとさせていただきます







宮本武蔵の鯨退治  歌川国芳 
本日はご清聴ありがとうございました。


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