活動報告

第37回例会卓話「公証人について」

2017年04月14日

      「公証人について」
      

 桒名仁会員


1 はじめに
平成27年6月に公証人に任命され、鶴見公証役場の公証人をしている桒名です。
今日は、なじみのない公証人、公証役場について、お話をしたいと思います。
公証役場は、全国に約300か所あり、約550人の公証人がおります。
東京では、45か所の公証役場があり、神奈川県内には15か所の公証役場に、29人の公証人がおります。ちなみに少ないところでは、佐賀、島根、秋田などが各2人となっております。
公証人は、公務員でありながら、自営業として経営しておりますので、多くは、繁華街の雑居ビルの一室が公証役場という例がほとんどです。

2 どのような人が公証人になるのか。
  公証人法には、公証人の資格として、30年間法律家としての勤務経験、その他の実務経験者の応募の基づき採用選考の結果によって任命すると書いてあります。
その結果、60歳から70歳までの裁判官、検察官の退官者、法務局長等の実務経験者が任命されています。

3 公証人の仕事
  公証というには、私人の法律行為に関する事柄を公の機関によって証明する国家の作用と定義されており、具体的には、住民票、不動産登記簿の発行等と同じ作用を、公正証書の作成などによって行うということになります。
具体的には、公正証書の作成することによって、強制執行力、特別な効力が認められた文書を作成するということになります。
公証人という職業は、ヨーロッパでは、知識人にとっては、憧れの職業といわれたりしますが、日本では、フランス法をまねて、明治22年に、制度ができたものの、それまで類似の職業は存在しなかったことからも、いまだになじみのない職業となっています。

4 公証人制度の盛衰  
  公証人制度は、その発足当初(明治22年ころ)は依頼もなく、経済的にも厳しい状態だったようですが、バブル期(昭和から平成にかけて)、サラ金業者による債務確認公正証書の依頼が相次ぎ、これによって経済的に潤ったことから、手数料の荒稼ぎ、サラ金業者の手先との批判を受け、これが負のイメージとして残っております。
 ここ数年は、遺言・後見契約の増加によって、依頼数が増えつつあります。

5 遺言公正証書について
 公証人の仕事の8割は、遺言の作成で、ここ数年増加傾向にあります。
 その増加原因(想定される理由)は、相続人間の争いの激化があります。現実的にも、兄が親を連れて遺言作成したが、後日、弟が親を連れて新遺言作成するという例もあります。また、子供を名乗る人から、電話で、特定の名前を出して「母はボケているから遺言を作らないでほしい」と言われたこともあります。
次に、死亡時に銀行が預金等を凍結するとのことで、身内の死亡の際、預金が引き出せなくて困った経験者が依頼に来る事もあります。
さらには、遺産分割手続きの際、戸籍謄本を入手したり、相続人全員の実印が必要になったりするため、離婚した夫・妻との間に子供がある人などは、しばしば作成に来られます。
 依頼の経緯は、半分が、直接の依頼で、3割が、弁護士、司法書士、行政書士、税理士からの依頼で、残り2割くらいが、信託銀行等の銀行関係となっております。
作成手数料は、手数料令で法定されているのですが、遺産の額と内容によって算出される仕組みで、当役場では、おおむね5万円から10万円の例が圧倒的で、高くて20万円程度となっております。
 また、最近は、後見契約のほか、家族信託契約も増えてきております。
高齢化に対応して、後見制度が設けられたのですが、この制度は、必ずしも使い勝手がいいわけではない(手続きの煩雑さ、後見監督人の存在、家庭裁判所の事務の増大)ことから、信託契約が増加する傾向にあります。

6 公証役場の日常
  公証役場は、繁華街の雑居ビルの一室にあり、相談は無料ということもあり、敷居が低いことを特徴としております。また、仕事もそれほど忙しくないため、予約なしでお客さんが様々な相談に来られます。このようなことから、弁護士等に行く前の、気軽な相談相手という気持ちで、仕事をしており、皆様にも気軽に利用していただきたいと思います。



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