活動報告

第32回例会卓話「事業継承の現状」

2018年03月16日

「事業継承の現状」
(株)日本M&Aセンター  瀬谷祐介様


日本M&Aセンターの瀬谷と申します。当社は1991年の創業以来、27年間中堅中小企業の事業承継や、友好的なM&Aの仲介を専門とさせて頂いており、これまで累計4000件以上のお手伝いをさせて頂いております。本日は、M&Aありきの話ではなく、事業承継の全体像を俯瞰した、承継全般のお話が出来ればと思っております。
昨今、中堅中小企業の2/3の企業で後継者がいないと言われております。また、経営者の中心年齢は66歳となっており、この20年で19歳上がり、世代交代は進んでおりません。
事業承継を考えたとき、選択肢は大きく3つです。親族内か、社内か、第三者(M&A)か。今から40年前は、親族内での承継の割合が92%と大半を占めておりましたが、現在は、34%と少数派です。一方、66%は親族外承継であり、この中で多くを占めるのが第三者、つまりM&Aでの承継です。
私もこれまで、50件以上のM&Aのお手伝いをさせて頂き、M&Aで承継された会社やオーナー、社員の方々のその後を沢山見てきました。そこで実感しているのは、M&Aを検討するにも、もっと事業承継全体を総合的に考え、あらゆる選択肢を検討し、納得する意思決定を行っていく必要があるということです。
ご自身のことや、会社、社員、家族、資産を大局的に見て、承継の選択肢やそれぞれの課題を知り、方向性、可能性を整理するということを先ずは行って頂きたいです。そして次に何をするかというと、対話です。実際に我々もご相談を受けている中で、必ずご家族や、承継候補者の方と話合う機会を作るようお願いしております。我々がファシリテーターとして、間に入り進めることもあります。経営の承継と、自社株を含む財産の承継を、誰にどう渡すのか、同時並行で考えて行く必要があります。
そして、最適な事業承継のためには、オーナー、家族、会社の3つのバランスをとることがとても重要です。このバランスが崩れると、余り良い事業承継になりません。やはり、事業承継は次の世代まで、会社も家族も幸せにならなくては行けないと思います。皆様、会社のことは当然考えられていて問題ないですが、ご自身や家族のことが後回しになっている、優先順位が低いように感じるケースが多いです。この3つの想いと将来をしっかり考え、バランスをとり、最適な承継を考える。そのために、座談会や社員承継会議、家族会議を行ったりしています。
次に事業承継の時期についてです。今は人生100年時代で、80歳、90歳でも元気な方が沢山いらっしゃいます。60代で承継しても、その後20年という時間ができる。20年あれば、相当なことができます。貴重な20年、自分らしくできる20年を事前に考え、承継の時期を決めましょう、という話を良くさせて頂いております。M&Aで事業承継する場合は、その時期を比較的自由にコントロールすることが可能です。
株価について、税務上の株価と、M&Aでの株価は大きく違うということも知っておく必要があります。親族承継や社員承継では、税理士さんが計算される、税務上の株価が用いられ、計算式が決まっておりますが、M&Aの株価は、相手によって大きく変わってきます。一般的にM&Aの株価の方が高く、数倍の差がつくことも珍しくありません。そうしたことを知った上で、どの承継の選択肢を考えるかということが重要です。
また、事業承継の選択肢を考える順番として、通常は、①親族、②社員、③第三者(M&A)の順で検討されることが多いですが、お客様から言われて気付いたことがあります。最初にM&Aで相手がいることが分かってから、親族や社員と話すと、それが保険となり安心して自信を持って話ができるということです。我々はご相談いただければ、M&Aで相手が見つかるか、どのような相手がいるか、条件はどうか、ということについて、ある程度最初の段階でお伝えできますので、ご参考に頂けると思います。
本日の話をまとめますと、納得する事業承継のために、承継全体を俯瞰し、全選択肢の基本と課題を知る、可能性を考える、家族・社員と対話する。M&Aはあくまで、選択肢の一つです。最も事業が成長する、家族が喜ぶ、自信が納得する選択肢は何なのか、それをじっくりと考え、意思決定・実行をする。このようなプロセスで事業承継をされたお客様は、実際が当初の想定と違った結果であっても、非常に納得感と満足感を持たれて、承継されています。
本日は貴重なお時間を頂きありがとうございました。事業承継やM&Aでのご相談がありましたら、些細なことでもご遠慮なくご相談頂けますと幸いです。


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