活動報告

第8回例会卓話「なぜ上手くいっている会社の経営者はご先祖を大切にするのか」

2018年08月31日

「なぜ上手くいっている会社の経営者はご先祖を大切にするのか」
一般社団法人人間力大学校理事長 天明 茂様





おはようございます!! 天明茂と申します。
 公認会計士の傍ら、大学、大学院の教壇に立ってきましたが、現在は人間力大学校のほか、青森県の立志挑戦塾塾長、宮城県多賀城市の行財政経営アドバイザーなどをしております。
 一昨年、一般社団法人人間力大学校を立ち上げ、演題のコンセプトで、家系分析を使って人間力を高める「立命塾」を全国主要都市で開催しております。
 幸い、稲盛和夫先生、鍵山秀三郎先生、村上和雄先生が推薦人となって頂き、野田一夫先生には最高顧問に就任して頂きました。



経営の方程式は「戦略」×「人間力」×「運」です。
 戦略とは経営戦略のことですが、ここで言う戦略とはM&Aや海外戦略といった拡大戦略ではありません。社員一人ひとりの幸せが良いサービスや商品を生み出し、結果としてお客様の幸せをつくるという、スパイラルが延びていく戦略です。
 経営に戦略は大事ですが、でも、戦略は良くても経営者の人間力が低ければダメです。
 では戦略が良くて、経営者の人間力が高ければ経営の成果は得られるかというとそうでもありません。「運」が味方しないと成功はありません。運はご先祖の応援です。ご先祖が喜ぶ生き方をすればご先祖が応援してくれるのです。



人間力という言葉が盛んに使われるようになりましたが、未だに人間力の定義に定まったものはありません。私は人間力を「あなたでないとダメ」と言われる「絶対的信頼性」と定義しました。「誰でもいいから手を貸して」に人間力は求められていないのです。 その絶対的信頼性を培うものは「専門性」と「人間性」です。前者の専門性は「他に秀でている」ことがポイントです。
 もう一つの「人間性」とは何でしょうか。これも良く使われる割に定義が曖昧です。私は人間力を「他の幸せを思う心と行動」と定義しました。家族のため、社員のため、地域のため、会社のためを思う人ほど人間性は高く、反対に「自分中心」「俺が俺が」の心が強い人は人間性が低いのです。
 そして、専門性と人間性を支えるのが凡事徹底です。



では、人間性をどのように高めたら良いでしょうか。
 それは図の中段に掲げた3つです。
 一つ目は良い習慣を身につけること。習慣が人格を作るという言葉もあるように、当たり前のことを徹底する習慣を身につけること。OAAは「お掃除、挨拶、ありがとう」の頭文字をとったもので、凡事徹底の典型として挙げたものであり、私の習慣でもあります。
 二つ目は私たちのDNAには仏教、儒教、神道などの教えが流れています。これに倣った生き方をすること。
 三つめは本日の主題でして、親祖先から受け継がれた徳に気付き、感謝し、讃え、自分が受け継ぐ努力をすることです。
 そして、上下に前提を入れました。上は自分は周りのすべてにつながっているから、自分が変われば相手も周りもかわるという価値観。下は良い師をもつこと。人生は師で決まるという人もいます。 



人間性とは「他を思う心と行動」と定義しましたが、人間性が高いほど「利他」、すなわち相手の利に心が向かっている。反対に人間性が低い人を「自利」、すなわち自分の利に心が向かっていると表現することができるでしょう。
 ではどうしたら心を「利他」に向かわせることが出来るでしょうか。そのカギは「生命観」と「関心度」にあると言えます。
 まず、生命観。「自分の命は自分のもの」と考える欧米的な個別生命観は自利に向かわせ、反対に「命は両親を通して先祖からの預かりもの」と考える連続生命観が人間性を高めていきます。
 もう一つは、相手に「関心」を持つと相手を理解できるようになり、その心が信頼、尊敬へと向かいます。反対に「無関心」でいるほど自分中心になっていきます。
 マザーテレサは「無関心は人類最大の罪」と言い切っています。



私の恩師である薄衣(うすぎ)佐吉先生は心理学の発達心理に倣って、人間性を7段階に区分表示しました。人間性のいちばん低い自己中心から最も高い感化力まで。年齢と共に上がっていきます。
 人は生まれたときは誰でも自己中心です。学校へ行くようになって、多少は周りのことが分かる自立準備。成人して自立力。結婚して妻子を養うようになると開拓力が、そして社会に出て部下が出来るようになると指導力が養われます。社会の上層になると清濁併せのむ包容力が、さらに後ろ姿で人や世を感化する感化力が養われて行きます。
 図の右側は、人に関心を持つほど人間性が高まり、反対に無関心でいるほど人間性が下がっていくことを示しています。



 しかし、人間性は誰でも年齢と共に上がっていくかと言うと、そうではありません。肉体は年齢と共に成熟し続けるのに対して「心」、すなわち人間性は上がっていかない人が圧倒的に多いのです。私の先生は社会人の75%は3段階(自立力)で止まってしまっていると調査結果を発表しています。 
 では、なぜ、肉体は年齢と共に成熟していくのに心は成熟していかない人が圧倒的に多いのでしょうか。それは2つの原因があります。
 一つは幼少時、両親から「基本的信頼感」が得られなかったこと。これは次のコマで説明します。
 もう一つは心のエサ(栄養)不足です。肉体には毎日栄養を与えないと死んでしまいますが、心には栄養を与えなくとも死ぬことがない。このため心の栄養を忘れてしまうのです。



基本的信頼感とは、幼少時に両親から愛されている、大切にされてきたという感情です。両親から十分な愛情をもらって育ってきた人は心が素直です。感謝の気持ちや人に対する思いやりの心が持てます。しかし、不幸にして何らかの原因で両親の愛情を十分に受けられなかったり、そのために寂しい思いや反発心を抱いてきた人には成長してからも自己肯定感が高まらず、他への思いやりが持てない人が多いのです。心の傷、これをトラウマと言います。
 では幼少時代のトラウマが大きかった人は人間性を高めることは出来ないのか? 決してそんなことはありません。例え、両親を恨んで生きてきた人でも、成人してから、両親の心がなぜ、そのようになっていったのか、また、それが自分の心の成長にどんな影響を与えてきたのかを、関心を持って客観的に見ることで幾らでも自分の心を高めていくことが出来るのです。



人は誰でも両親から生まれます。両親もその両親から・・・という具合に、命は代々つながっており、今の自分の命は両親・祖父母・曽祖父母・ご先祖の命と分かります。そのお陰で今があるという感謝の気持ちが生まれると、何としてもこの命を大切にしなければならないという気持ちになります。このような生命観を連続生命観と言います。
 これに対し、自分の命は自分のものと考える個別生命観では親や先祖と自分は別々と考えます。自分で努力する反面、相手に責があっても、自分に不満があっても他を責める気持ちが強くなりがちです。
 私たち日本人は昔から連続生命観で生活してきました。しかし、最近は欧米の個人主義の影響から個別生命観が強くなったり世相を悪くしているのです。



人は誰でも3代遡ると8つの家、14人の先祖が居ます。ところで皆さんは3代先の8つの家の苗字が幾つ分かりますか?
 この8つの家、14人のご先祖から良いところ(徳)も、悪いところ(不徳)も受け継いでいます。遺伝子学的に言えば、徳も不徳も必ず自分に受け継がれていると考えられます。その徳を発見し、感謝し、讃え、受け継ぐ努力をするほど自分の徳は高まります。反対に不徳は反面教師として受け継がない努力や慰霊をすることで自分への影響を少なくできます。
 代々の家から受け継がれた徳を「家徳」と言います。家徳が自分に反映されたものが「人徳」、さらに会社に反映すると「社徳」となります。社徳が高い会社は世間が潰しません。
 大事なことはわが家に、また自分にどんな徳が流れているのかを正しく理解することなのです。



このように家の徳を調べ、徳を継承して人間力を高める手法を「家系分析」と言います。
 具体的には、まず3代先までの「家系図」を書きます。そして家系図に書かれた一人ひとりに生きざまを調べます。それには存命者を訪ねてご先祖一人ひとりの性格、仕事、仕事ぶり、親子仲、夫婦仲などなど、分かる限り調べる必要があります。
 すると「人生ストーリー」が見えてきます。どこの家にもストーリーがあり、繰り返しがあります。例えば代々、人のお世話をしてきた家、代々裕福な家など。反面で代々事業が破たんした、代々離婚が続いてきた、などなど。徳は継承し、不徳は人生ストーリーを書き換えることで幸せになります。
 家系分析をすることで自分の使命が分かり、家族や会社が抱えていた問題が解決に向かい、そして運が味方するのです。



ひところ「自分探しの旅」が流行りました。自分探しで古都を訪ねたり海外に行って、そこに自分は居るでしょうか? 遺伝子的に見れば自分は両親・祖父母・曽祖父母などご先祖の中にいるのではないでしょうか。
 家系分析をすることで誰でも自分をしっかりと認識し、自分しか果たせない使命も自覚できるのです。天命につながるとか、天命を知るというのはこのことです。
 「天命に生きよ」と言われますが、どの本を読んでも天命の定義もなければ方法もありません。人間力大学校では天命を「代々の親の子に対する願い・期待の集積」と定義しました。時代は変われ場所は離れても親の子に対する願いや期待ほど純粋なものはありません。それがDNAに蓄積されているのです。



佐藤栄作首相から中曽根康弘首相に至るまで、昭和歴代首相の指南役を務め、さらには三菱グループ、東京電力など、多くの財界人に師と仰がれた安岡正篤先生は家系を大切さを口にされていました。安岡先生は、家系を遡ると自分が数えきれないご先祖によって作られてきたのであり、そのことに気付くと「これではいかぬ」「何とかせねばならぬ」と気づき、「自己を新しくすることが出来る」と言われています。
 安岡先生はまた、「人間の意識の深層は永遠につながっている。これは自分および父母・先祖代々の体験と心理の倉庫であり、秘密の蔵である」と述べています。そして「最近の心理学や科学がようやくこのことに気付いてきた」と。先祖につながると真理が分かると言っているのです。



図は私が仙台に単身赴任していた当時、赤字続きなので会社を閉めたいと相談に来られた菓子問屋の社長の家系図です。娘さんが3人おられるが3人とも縁が遠いようで、会社を継いでくれそうもないこともあって閉じたいと。
 いろいろお話を聞いてる中で「出来れば閉じないで継続したい」という本音が出てきて「どうしたら会社が良くできるか」という話に変わってきました。社長は「この数年は仕事が忙しくて先祖のお墓参りどころでなかった」という自分の言葉に「本末転倒だった」と気づいてお墓参りに行き、家系分析を進めたのです。その後、1年半ほど経った時に会社をM&Aで同業者に買い取ってもらう話がまとまり、実に円満に会社を譲渡することが出来たのです。
 その後、社長は「薄皮たい焼き」のお店を創業。順調に会社は発展し、事業継承者も現れました。上が繋がったら下もつながったという家系分析の原則通りに改善されたケースです。



拙著「なぜ、うまくいっている会社の経営者はご先祖を大切にするのか」を致知出版社から上梓した折、月刊誌「致知」で遺伝子工学の村上和雄先生と3時間にわたり対談させて頂きました。村上先生は「サムシンググレートがスイッチオンすると自分の遺伝子がスイッチオンする。これが奇跡であり運である」というスイッチオンの生き方を提唱されています。
 私は村上先生に「配線がつながっていなければサムシンググレートがスイッチオンしても自分の遺伝子はスイッチオンしないのではないか」と質問したところ、先生は「その通り」と言われたのです。両親を尊敬し、先祖を大切にする人ほどサムシンググレートが応援してくれるというのです。そのことがあって先生は人間力大学校の推薦人を引き受けて下さったのです。



以上、家系を遡ることで「人間力」が高まり「運」が味方することをお話ししてきましたが、その具体的実践の場として「立命塾」を設けております。「立命塾」は月1回×4か月(4か月コース)です。
 現在、第18期(東京)、第19期(大阪)を開講していますが、次期は12月から翌年3月まで。東京と大阪で開講します。
 「立命塾」の内容は「講義」「個人演習」「討論」「課題」のほか、先祖と手紙をやりとりする「ロールレタリング」、そして、毎回、一人ひとりと40~50分面談する「個人面談」を通して、みなさまの「人生のシナリオの書き換え」や「後半人生の立命」に伴走させて頂きます。
 なお、東京会場は品川駅から3分の会場です。
 お申込みは電話、FAX、HPからお願いします。



本日は30分という短い時間の講話でしたが、もう少し詳しく聞きたい方は「人間力講演会」に是非ご参加下さい。
 9月は私のほかに堀江一義が話しますす。堀江はパチンコ平和の代表取締役専務を長く務めた公認会計士です。
 10月の佐藤茂則は病院のケースワーカーの経験を生かしたカウンセラーを本業としてきたコンサルタントです。
 私と堀江、佐藤は、私が修行させて頂いた恩師(薄衣佐吉先生)の元で共に学んだ同志なのです。
   お申込みは電話、FAX、HPからお願いします。
 日本の伝統文化であった家族制度が薄れ、経済繁栄の裏で精神的貧困が加速する中で、何とか日本の良さを取り戻し、家族の幸せと会社経営の健全化をサポートさせて頂いております。



 本日の講話は、「人間力」を高め、「運」を味方にするものです。


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