活動報告

第19回例会卓話「少子化を考える」

2018年11月16日

「少子化を考える」
関東学院大学経済学部教授 望月正光様

本日は、横浜東ロータリークラブの第19回例会にお呼びいただき、お礼申し上げます。ロータリークラブの標語は「超我の奉仕(service above self)」と伺いました。私の奉職する関東学院大学の校訓も「人になれ 奉仕せよ(be a man and serve the world)」と社会に対する奉仕の精神を掲げております。ともに社会に対する奉仕の精神を基本とするものとして、とても親近感を抱いております。
さて、本日の卓話は、「少子化を考える」ですが、まず第1に、少子化の進行がもたらす将来社会の状況を客観的に直視し、どのような社会となるのかを見通すことです。すなわち、超高齢社会の進展とはどのような社会の年齢構成となり、その社会の在り方をデータ等によってできるだけ正確に予測してみたいと思います。第2に、人口減少社会の到来と超高齢社会が進展する中で、活力ある社会となるためにはどのような方策があるのかを考えることです。すなわち、超高齢社会が活力ある社会として維持されるための方策はどのようにあるべきかを考えてみたいと思います。
我が国はすでに人口減少社会に向かって進んでいますが、大都市であるここ横浜でも将来人口推計の中位推計によると、2019年に373万人と人口のピークを迎えることになると予想されています。その後、人口は2045年ごろには約340万人に減少し、2065年ごろには300万人を下回ることになりそうです。人口の減少とともに、横浜市の年齢構成は大きく変化することになります。2015年当時で15歳~64歳は全体の64.0%を占めています。0歳~14歳は12.7%ですが、他方で65歳以上が23.4%で、そのうち75歳以上が10.9%となっています。ところが、将来は少子化の進行と超高齢社会の進展により、激変します。2045年ごろには15歳~64歳は54.2%へと約10%も減少します。0歳~14歳は11.1%とそれほど低下しませんが、65歳以上の割合が34.8%へと増加します。とりわけ75歳以上が20.1%と急増するのです。その後は、75歳以上が2060年後に24・0%まで上昇しますが、全体として年齢3区分別人口の割合はほとんど変化せずに超高齢社会が定着します。これが、データから予測される超高齢社会なのです。
話題となっているように、政府も少子化による人口減少社会を想定しています。そのため、労働不足の見込みを2019年度から5年間で約130万人~135万人が不足するとし、外国人労働者の受け入れ制度を改正し、約26万人から34万人の受け入れを試算しています。しかし、外国人労働者の受け入れによって増加する割合は、全体の労働不足に対して2割程度にすぎません。むしろ主として、新たな労働の担い手として期待されているのは、65歳以上のシニア世代や女性の活躍です。したがって、横浜市の年齢区分別人口の割合に関する予測からも同様の方策を考えなければなりません。すなわち、超高齢社会が活力ある社会となるためには、高齢者と女性の活躍に期待するのが最善策となるのです。
 まず、65歳以上のシニア世代です。2045年には65歳以上の割合が34.8%へと増加します。また75歳以上も20.1%と急増します。これらの世代の人々に活躍してもらうには、雇用年齢の引き上げが必要と考えられます。60歳あるいは65歳定年制も再検討して、70歳あるいは75歳へ延長することも検討するべきです。さらに、NPOやボランティア等の奉仕活動によって社会参加を積極的に行って、社会の活力を支えてもらわなければなりません。
 次に、女性の活躍です。一般に指摘されるように女性の雇用をめぐっては、「M字カーブ」といわれる現象が存在します。女性が働くことを断念する要因として結婚・出産・育児があります。このため、女性の就業率が25歳前後で低下する時期があり、これを表すのが「M字カーブ」です。近年女性の活用が重要なテーマとなっていることから、次第に「M字カーブ」がなだらかな曲線となってきてはいますが、それでもこの要因は依然として大きなものです。さらに、高齢社会の到来に伴って介護のために離職するケースも目立っています。したがって、女性が働くことを継続できるような制度改革は必要不可欠なのです。とりわけ、少子化社会を考えるならば、出産・子育てのための制度の整備はとても重要です。また、介護のための支援制度の拡充も大事だと思われます。
 少子化の進行と高齢社会の到来は、個々人の家庭を考えるならば決して悪いことではありせん。なぜなら、少子化は生まれてくる子供を両親が大事に育て、大学まで高等教育を受けさせたいと考えるからでしょう。各家庭の子育てのコストはますます上昇してきましたから、子供を二人目までと考えるようになったからではないでしょか。一方高齢化は戦後の高度経済成長により人々が豊かになったことから、人々がより長い人生を送ることができるようになったためでしょう。ですから、少子化と高齢化は個人にとっては、とても合理的な現象なのです。しかし、これを社会全体から見ると大きな課題と考えられます。これは、一種の「合成の誤謬」と呼ばれる現象です。したがって、これからの社会が「合成の誤謬」とならないように、社会全体の問題と考えて社会の制度改革が必要と思われます。さらに、そのような制度改革を支持し、支える人々の意識改革が最も重要なのではないでしょうか。


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