活動報告

第29回例会卓話「トラック運送事業の現状と課題」~ドライバー不足~

2019年02月15日

「トラック運送事業の現状と課題」
      ~ドライバー不足~
              筒井康之会員

1.トラック輸送の現状
(1)トラックは国内輸送の9割を担う
   ・国内貨物輸送量:年間47億8,000万トン
(2016年実績) (図1)
   ・このうち91.5%に当たる43億7,000万トン
をトラックが輸送
    ⇒トラックはまさに「物流の主役」
(2)緑ナンバー<営業用トラック>と白ナンバー<自家用トラック>の2種類ある。
・国内登録台数約756万台(2015年度)
・このうち営業用は約140万台(18.5%)(資料:自動車検査登録情報協会)
・営業用トラックの輸送量は29億6,000万トン(67.8%)
・営業用トラックの輸送トンキロ(=トン数×輸送キロ数)は86.1%
・営業用トラックの輸送効率は自家用の9倍(資料:国土交通省)
(3)ネット通販拡大で増大する国内貨物量
・宅配便取扱個数
 2006年度:29億4,000万個
 2015年度:37億4,500万個
 ⇒10年で3割近く増加(資料:国土交通省「トラック輸送情報」)
 ⇒インターネット通販の拡大や、消費者にとって便利な代金引換サービス、
時間指定配達といったサービスの充実化を背景に需要が伸びている。

2.規制緩和によるトラック運送事業者の経営環境
1990年(平成2年)貨物自動車運送事業法改正
・トラック運送事業「免許」→「許可」
規制緩和で参入しやすくなる。
事業者数1.5倍に(図2)
・営業区域「廃止」
全国自由に。(徐々に緩和)
・運賃・料金「認可」→「届出」ダンピング競争、運賃低下
・最低車輌台数「20台」→「5台」小規模事業者の増加(図3)
⇒<下請け多重構造化>
(1)供給過剰となり、安全面、雇用面で不法事業者が増加し、荷主の立場が強くなった。
安全基準を守らない、各種社会保険に未加入事業者が増加。
(2)トラックドライバーは運賃低下に伴い低賃金(図4)
(3)トラックドライバーは長時間労働(図5)
・付帯作業(荷役作業)の増加多くがサービス
⇒輸送契約上は「車上受け、車上渡し」
・荷主先での待機(荷待ち、手待ち)(図6)
・届け先への時間指定、再配達ジャストインタイムの常態化
(遅れるとペナルティー)
・高速道路を利用出来ず、一般道を走行。(大部分)料金収受出来ない
(バス・タクシーは乗客負担)
(4)トラックドライバー不足の深刻化と高齢化
・有効求人倍率ドライバー2.71倍(全産業1.37倍)(図7、図8)
2005年度はほぼ同水準(0.9倍)
・若者の運転免許取得減少も一因
(5)行政による規制、順守事項が強化
・安全面、環境面でのペナルティー悪質業者の退出

3.今後の課題
(1)少子高齢化、労働人口の減少等、ドライバー不足は今後も続く (図9)
(2)ドライバーの長時間労働是正に向け、行政・荷主・事業者など、関係者による「改善協議会」を全都道府県に設置(平成27年)全国で実態調査。改善策を検討。

(3)平成29年3月道路交通法改正。新たに準中型免許が出来た。
18才で3.5トン~7.5トン未満が可能。
高卒新人の採用が可能(会社で取得費用
助成)。普通免許は3.5トンまで。
(4)トラック協会は「出前授業」として各種高校に出張し、交通事故防止とトラック業界の役割、重要性をPRしている。(前記の準中型免許の新設等)
(5)「働き方改革関連法」が6月に成立
⇒5年後に残業規制「自動車運転業務」の時間外労働は年960時間(月80時間)
(6)「標準貨物自動車運送約款」の改正(平成29年11月)
運送とそれ以外の役務(荷役作業など)の対価を別建てで収受できる環境整備。
「待機時間料」を規程。高速料金。
(7)貨物自動車運送事業法の改正(平成30年12月)⇒議員立法28年ぶり。
永年に亘る業界の要望が実現しつつある。
・新規参入規制の厳格化
・不適切業者(悪質業者)の排除
⇒安全義務の明確化。適確な運行のため順守義務の新設。
⇒車庫の整備・管理や健保等の保険料未納付
・荷主対策の深度化
⇒荷主の理解、協力のもとで働き方改革、法令順守を進める。
・標準的な運賃の公示制度の導入
⇒経済規制の適切化を進める事で公正競争を確保しつつ、適正な運賃・料金を収受し、それをドライバーの賃金上昇に適正に振り向ける。
順次法整備が進み、ドライバー不足解消へ
の環境が整いつつある。

4.まとめ
・昨年、ヤマト運輸を始め、大手宅配業者が値上
げに踏み切り、荷主の理解は徐々に浸透されつ
つある。
・荷主とトラック運送事業者とは真の良きパー
トナーとして現状認識を共有し、日本経済の大
動脈であるトラック輸送を健全に発展させる
ことが重要である。


活動報告一覧へ戻る

Top