活動報告

第37回例会卓話「夢のまちづくり」~みどりが繋いでくれたもの~

2019年04月19日

「夢のまちづくり」
~みどりが繋いでくれたもの~
鶴見「みどりのルート1」をつくる会会長     高田房江様

皆さま こんにちは、鶴見「みどりのルート1(ワン)」をつくる会会長の髙田房枝でございます。本日は歴史ある横浜東ロータリークラブにお招きいただきましてありがとうございました。
私は鶴見で生まれ現在も国道1号沿いの諏訪坂に住んで40年以上たっております。また、嫁いでから不動産会社を30年ほど経営しています。
今日は、その国道沿いのあきらめかけていた夢の緑化まちづくりについて横浜市の助成金もいただいておりますのでご報告でもあります。みどりのまちづくり活動で繋がれたことについて述べさせていただきます。また、皆様も鶴見の方が多いと伺っておりますので横浜市、鶴見区の緑化の現状についても合わせてお話させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
1.はじめに
 鶴見「「みどりのルート1」をつくる会は、国道1号「北寺尾」交差点を中心に約1号kmに亘る沿道の店舗、教育機関、住民が一体となって「民有地の緑化によるまちづくり」に取り組む組織として平成24年に設立しました。平成25年から5年間は横浜市の政策の一つである「地域緑のまちづくり事業」で協定を締結し助成を受け、緑化に取り組みました。
まず、この地域の歴史ですが、昭和12年以前はこの地域は里山でした。現在の国道15号の交通量の激増により新京浜国道が計画され、当時の里山は開削され、「国道1号として現在に至っています。当時の内務省から国道の工事説明と共に当家に工事の平面図が配布されました。 
この知らせを受け、里山に墓もあり、重大事だとして家人は写真屋さんを呼んで写しました。正面に高田の母屋とその左うしろの松林のあたりに現在の交差点が写っています。昭和13年ころから里山を切り崩して国道をつくり始め、昭和16年の頃には里山の一部に尾根をつなぐ響き橋が作られました。この橋は先に橋をつくり、その後土を取り除いたそうです。今は横浜市の歴史的建造物に指定されています。この響き橋には、エピソードがあります。当時、幻のオリンピックと言われる東京大会が決定し、国力を内外に発信するため、マラソンコースを小金井コースから変更して響き橋を折り返り地点に予定したそうです。設計者のスケッチにも日の丸とオリンピック旗が描かれています。しかし、この計画は戦争で中止となってしまい実現しませんでした。国道工事は、トロッコを使って進み並木もある国道として完成しました。時代が進み、昭和57年頃にはモータリゼーションに呼応してロードサイド飲食店舗、ス―パー、自動車関係ショップが増えていきました。
平成20年頃にはこの沿道地域は近隣商業地域に指定され、便利になり、便利で賑やかなまちになるのと同時に、みどりは益々減って、景観も悪くなり、ゴミも増え、また防犯上の問題も出てくる状態になり、なんとかならないものかと思っていました。
2.緑化活動のきっかけと会の設立
 ちょうどその頃、20年来続いたブロンズパロットが撤退することになり、その後に木曽路さんとスターバックスさんが出店を希望されました。
そこで、出店の条件にブロンズパロットの店舗にあったケヤキやクスノキ等を伐採しないこと、さらに緑を増やし、2店舗で管理も続けることを条件としました
木曽路さんは植栽を外構に入れるのは通常なことでしたが、後から分かったことですが、スタバさんはこれまで緑化を入れた計画はなかったので、この申し出に驚いたそうです。それでも会社の理念には響いたようで、ランドスケープの専門家を交えた特別なチームを作って計画をやり直し、見事な植栽計画の中での店舗の模型を作って見えました。これならば緑多い店舗ができると、2社に出店していただきました。
 スタ―バックスさんはこの取組が社内でも評価され、日本ではその年の新店舗評価NO.1に、またシアトルの本国でのStore Design of the Yearという店舗デザインや地域との関係も採点される希少な賞を受賞し、世界中の中でも評価を受けました
この店舗展開は近隣の方やお客様に大変好評で、営業も予想の以上の成績となりました。
そこで、平成23年9月鶴見国道1号線沿い緑化をレストラン、学校、スーパー等企業に呼びかけ、地域住民のみなさんと共に緑化まちづくり活動をはじめました。
3.横浜市との連携と調査
 次に緑化活動の経緯とこれまでの概要をのべます。横浜市は、みどり税を基盤としてまちへの緑化助成として「地域緑のまちづくり事業」を制定しています。そこで、2011年9月、居住地近隣の国道1号の沿道緑化ラフプランを提言しました。この時点でも対象が、国道であること等当初は問題となりましたが、民有地緑化であること、また緑化が分断された地域を繋いでいくことを予測して、助成対象となりました。その後事業者に緑化まちづくりを呼び掛け、参画を勧誘して会を設立、事業者、住民により実施する「緑化計画」を立案し、横浜市に提出して協定を締結、その後緑化工事に入りました。この間に緑化推進の基盤となるよう、事業者参画勧誘のためのまち歩き調査、周辺地域住民のまちへの愛着、関心、店舗評価、緑化活動の認知、意向などを問う意識調査を緑化工事の前と後の2回、また緑化工事に参画した事業者の参画動機や社内での取り組みでの問題点、効果の合った点等のアンケート調査の4つの調査を行いながら、活動を進めました。
4.緑化まちづくり
 「緑化計画」には、「緑化の方針」として、幹線道路沿道民有地に「みどりの拠点」をつないで現代の「沿道里山」を目指す「みどりのルート1」宣言をしました。
 「緑化計画のテーマ」は、第1に、駐車場、道沿い、壁面に「みどりの拠点をつくる」第2には、作った「みどりを楽しむ」を挙げました。
 約1kmの国道沿道でみどりの拠点は、駐車場緑化に7店舗、道沿いの緑化では7店舗、壁面緑化で1事業所に作ることができました。平成25年から29年度に行われた緑化は、会員間でテーマを決め、一体感のある沿道をつくる計画としました。そのために、各店舗は、駐車場をより広く取る事業ですので厳しかったですが、少しでも植栽できる場所を見つけ近隣地域で見かけるケヤキとクスノキを植えました。全体では樹高3m以上の高木は39本、1~3m未満の中木は315本、1m未満低木は2579本、壁面緑化は、390.3㎡、樹種数は95種類となりました。計画は生物が住み、行き交うことができるように樹高、樹種をバランスに配慮し持続可能で生物多様性な緑化を目指しました。
 実際の実例のご紹介ですが、バーミヤンでは、使用頻度の少ない軽自動車や、縦列駐車の駐車スペースにフェンス、自動販売機、大看板を取り払い7mのケヤキやクスノキ等を植えました。交差点部分には緑化のほか、植栽土留を利用してベンチも設け、パブリックスペースとなりました。これらは、地域住民の意見を反映しました。サーティンワンでは、店舗前の広告幕を撤去して花壇を再生しました。びっくりドンキーでは、北寺尾交差点の重要地点として駐車場の配列をし直し、看板を移設して高木7本等中木36本、低木554本を植えました。ガストでは、ピロティ店舗の2回テラスに植栽したところ、店内からの景色も窓越しに緑が見え雰囲気が良くなり、予想しなかった効果もありました。スーパーのライフでは、これまで植栽地で植物が育成しなかった排水の良くないデットスペース地中に補助配管を敷設、土壌改良と盛土をしてケヤキ等を植えました。バーミヤンと隣地同士駐車場となっていたライフ第2駐車場はコンクリートと鉄板の擁壁を撤去してケヤキと低木、地被類を植え擁壁のかわりとしました。その結果、遠景のみどりと繋がり広がりのある景観が生まれました。その他店舗前のコンクリートで埋められていた花壇を再生したガリバー、SMSバイクショップには水鉢を入れた花壇をつくりました。ヨゼフ学園では長い国道沿いで高さも高く、長く続く擁壁は壁面緑化とセットバックした場所には高木を入れみどりの壁面にかわりました。バス通りのフェンスが続く髙田そろばんの崖地は、アンケート結果から邪魔になり景観が悪いと寄せられていたフェンスを撤去して植栽に変えました。その結果狭い歩道で傘を広げやすくなる効果がありました。
5.維持管理とみどりを楽しむ
 建物は出来上がったところが完成ですが、緑化は維持管理しなければたちまち枯れたり、伸びたり、草が生えたりしますので、そこからが第2のスタートです
わたしたちは、それを楽しくゆるくしていこうと計画し、またみどりを楽しむことを基本方針に打ち立てました。
 維持活動荷台1番目はクリーンアップです。毎月第3木曜に事業所のスタッフ、本社の営業部、開発部と自治会賛同者、活動賛同者であるサポーターの皆さんと一体となって草取り、落ち葉掃き、清掃します。持ち場は決まっておらず、互いの店舗も話し合いながら皆例会を楽しんでいます。そのほか、ヨゼフ学園では中学1年総合学習として、またガールスカウト神奈川県第1団、鶴見大学附属高等学校野球部等が不定期にこの活動に参加してくださっています。
 緑化効果等の実態調査として、当会の植栽と生物の関係を知るため、専門家を招いて鳥の観察会を開催や、トンボの飛来調査を「トンボはどこまで飛ぶかフォーラム」の団体での一斉調査に参加して変化を把握し、今後の維持管理に役立てる予定です。
 他の地域での先進的な都市緑化事例を見学してスキルアップする会も行い、都内の森ビル、丸の内、八重洲地域、駿河台三井生命本社ビル等視察しました。
 会の活動の理解や緑の大切さを伝えるためのイベントも年に数回開催しています。
その一つは、この地域で剪定した太めの枝をスライスしたプレートに地域でできたドングリや花柄、種、枝をデコレーションする木工工作イベントです。
また、当地域で発芽したドングリの苗でミニ鉢づくりイベントも好評でした。冬には、枝にサンタの絵を描いて各店舗の植栽地に置いて季節を楽しむと同時に、緑化のエリアを広報しています。このイベントは定例化となり、例年参加の方も増えています。
 この他、企業緑地を増やすお薦めをする講習会、ビックサイトでのエコプロダクツへの参加、鶴見区ポスター展、里山ガーデンフェスタへの参加などを行っています。
6.みどりが繋いでくれたもの
 振り返るとこれまでの活動に多くの方にかかわっていただいたことに気づき、みどりが繋いでくれたものがわかってきました。
 まずは、人・団体・組織のみなさんです。一緒にみどりに取り組んだ事業社の本社、店舗、担当の皆さん、これまで結びつきのなかった地域の住民、他の緑化地域のグループ等の皆さんです。また、子どもたちとも繋がりができました。また、研究機関の団体や、フォーラム等とで研究機関や大学、また助成をいただいた横浜市を始めとして、東京都環境課、愛知県環境課等見学や資料に取り上げていただく一方で、新たな事例等の紹介を受けました。
 みどりのまちづくりから、環境の改善の視点も広く持てるようになりました。
行き交う人、働く人、住まう人、事業する人、それぞれの立場からの視点を持てばより良いまちづくりへの計画ができます。
 今回の緑化は、1地点ではありますが、これを広げることが可能であり、実現すればより広い地域へと繋がり、この小さい活動の積み重ねが地球環境の一つとしても考えられる。すなわち地球環境の課題である持続可能な開発「SDGs」の活動の一つとも位置づけられるのではないかと繋がってきました。
5.横浜・鶴見のみどりの現状
ここで視点を変えて横浜、鶴見の現状に触れてみます。
横浜市の緑被率、この率は、緑の総量を把握する方法の一つで、航空写真によって上空から見たときの緑におおわれている土地の割合ですが、の昭和45年は50%ありましたが、平成26年は、28.8%になり、年々減っています。鶴見区は13.1%で、市内の中でも西区の11.6%に次ぎ、ワースト2の区です。
 横浜市の平性29年夏期のデータでは、真夏日日数分布図で最多49日を鶴見区生麦で、平均気温分布図でも最も高い地点で27.8℃を同生麦で記録されています。熱帯夜日数分布図でも最も高い西区、神奈川区新子安と同様に高い地域になっています。
 一方で平成29年の「横浜の緑に関する市民意識調査」では横浜が彩り豊かな緑や花でいっぱいの街になってほしいと 72.5%が答えています。また、その場所は、駅前広場、街路樹等に約70%の人があったら良いとしています。
 横浜市は環境未来都市の指定を受けており、目指す環境の姿についてもSDGsの考え方を活用して発表しています
当会の活動もSDGsの考えを明確化したいと考えています。
当会が助成を受けた「地域緑のまちづくり事業」は現在でも行われています。
詳細はパンフレットをお渡ししましたが、現在は、年間500万が3年間計1500万円、工事費の90%が助成されます。
鶴見区は緑被率が低いので重点地区となっていますが、これまで当会と末広地区のみで毎年新規はありません。ぜひ、みなさまの事業所、住宅でエントリーを是非お願いします。お手伝いもさせていただきたいと思っております。
8.今後に向けて
次に上げる項目を達成してゆきます。
 現在のみどりのまちづくり活動を進めていくと同時に他の地域での活動に広めていきます。そのために誰でもが緑化活動を導入しやすくするためのHOW TO 本をつくります。同時に緑化の経済効果を調査分析してその効果の数量化を明らかにしたいと考えています。これらを進めることにより緑被率UPし、鶴見のヒートアイランド現象の改善に繋がる、心地よいみどりのまちづくりに励みたいと思います。
トーマスフリードマンが環境対策について「そのうちやろう、の時代は終わった。今すぐに始めなければもう時間はない」と言った言葉が心に響いています。その思いで活動に取り組んでゆきたいと考えております。
本日はご清聴、ありがとうございました。


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