活動報告

第45回例会卓話「先哲に学ぶ」

2019年06月21日

「先哲に学ぶ」
プログラム委員長 石渡宏道会員

森年度でプログラム委員長を拝命するにあたり、卓話の基本的コンセプトの一つに「温故知新」を掲げた。当クラブで永年活動されてきた筒井康之会員、石川健治会員、松本英二会員3人の卓話は後輩会員にとって大変力づけられる卓話でした。今日は私の温故知新として「4人の先哲に学ぶ」というテーマでお話させていただきます。

薄衣佐吉先生(1918年生)
私が30数年前「創造経営教室」で一年間ご指導を受けた先生です。昨年の8月に当クラブの卓話をお願いした「天明 明」先生の師匠でもあります。また薄衣先生は当クラブの会長経験者の「伏見 章」先生と同じ年の公認会計士です。ご案内の通り「伏見先生」はコンピューター会計の草分け的存在でしたが「薄衣佐吉」先生は中小木企業のコンサルタントの先駆者です。薄衣先生の経験則と理論から「息詰まる会社は必ず家庭が息詰まっている。特に親子関係が悪い、夫婦関係が悪い、ご先祖を疎んじている。百に一つの例外もないとまで言い切られている。自己の生命は父母、祖父母、曽祖父母の生命の流れを受けて存在する。
そのためには自分の家系三代を掘り下げて自分を知ろう。(動態連続生命観)と説かれる。そして企業は「ひと、もの、かね、情報」からなるとしたら。ひとが四分の三を占める。だから企業の成長は人の成長、人の成長は人の心の成長です。
薄衣先生に「専門家たる前に人間たれ」と指導を受けた。

 中村天風先生(1876年生)
出会いは30年ほど前、本屋で手に取った一冊の本でした。題名は「盛大なる人生」というとてもぶ厚い本でした。予てより尊敬している先輩から本を買う時は値段は見るな、目次とあとがきを見て気に入った本を買えと言われていましたので、教えに従いレジで精算したところ、なんと1万円でした。当時の一万円はかなりの高額本です。当然ながら一字一句真剣に読みました。
天風先生は波乱万丈の生き方をした方で、思想家、教育者、実業家、ヨーガ行者と言われています。幅広い宇宙観、生命観、人生観をバックグラウンドにして「心身統一法」を説かれ、多くの天風語録を残しています。いくつかをご紹介します。一つは「常に積極的であれ」。
二つ目は先ずは「人間を創れ、魂を磨け、さすれば幸福は向こうからやってくる」。
三つめは「人間は生きていくのに一番大切なのは、頭の良し悪しではない、心の良し悪しだ」等「こころ」を磨くことを教えられた。天風さんを慕う人は政界、実業界、スポーツ界等幅広い層から師事されている。因みに東郷平八郎、宇野千代、双葉山、稲盛和夫、松下幸之助、広岡達朗、永守重信、松岡修造、今注目の大谷翔平等多岐にわたっている。

安岡正篤先生(1898年生)
出会いはやはり本屋さんでした。大手の本屋さんに行くと必ずと言っていいくらいに安岡正篤コーナーがあります。安岡先生は三島由紀夫とも親交があり、昭和最大の黒幕とも言われていた人に興味を抱いたので数冊買いこみました。
安岡先生は陽明学者、思想家として東西の古典を通じて人間としてのあり方を模索した人で、歴代の総理大臣はじめ多くの政治家に強い影響を与えた人です。
ここで私の好きな安岡正篤語録を紹介します。
1.知識、見識、胆識
知識は学校等で勉強したり本を読むだけで得られる。
見識は知識にもっと根本的なもの、もっと権威があるものが加わっていること
胆識は決断力、実行力を持った見識のこと
2.先賢に学んで自分を練る。ある意味温故知新と同じだと思います
3.一隅を照らす
一燈が一隅を照らし、それが集まって万燈となり、あまねく世の中を照らす
4.足るを知る
  これで良いのではなく、これが良いと思える生き 
  方
安岡正篤の主な事績、逸話 
玉音放送の草案をしたと言われている 
平成の元号の発案者と言われている 
政界のご意見番 吉田茂、池田隼人、佐藤栄作、福田赳夫等のご意見番

 稲盛和夫先生(1932年生)
ご存じの通り京セラ、KDDIの創業者で日本で有数なる経営者、実業家です。稲盛先生は1959年社員8人で会社を創業し今日まで輝かしい企業実績を残しています。その稲盛経営を慕う京都の若手経営者が稲盛和夫を塾長に「盛和塾」を作ります。現在では日本に56件。海外には44件の塾が存在します。私はその盛和塾横浜(1993年開塾)のチャーター塾生として稲盛先生とのご縁をいただきました。
稲盛経営の神髄は何といってもアメーバー経営と言われています。アメーバー経営を簡単に申し上げると会社の組織をできるだけ細かく分割し、全社員参加型の経営管理システムの事です。そしてそのシステムを支えるのが「京セラフィロソフィー」です。今日参考に「京セラフィロソフィー」の本を持ってきていますが、ご興味ある方はぜひ一読してください。
この稲盛経営哲学はまさに「温故知新」の精神です。特に先ほどお話した中村天風の影響が大きいのではないかと思います。事実、稲森塾長は「中村天風さんの言葉はシャワーのようだ。心が洗われる。」と言っています。私が個人的に好きな稲盛フィロソフィーを一つだけ挙げるとしたら」「動機善なりや、私心なかりしか」であります。
実際に1984年第二電電を設立した時も1994年DDIポケット企画を設立した時も巨象に立ち向かう蟻のごとき状況でした。また2010年の日本航空再建着手も戦後最大の倒産とまで言われた難解な再建事案です。それらの難題に立ち向かう時のキーワードが「動機善なりや、私心なかりしや」です。特にJALの再生に至っては 表面上の大義は①雇用を守る②ANAの独占状態を防ぐ③日本経済への悪影響を食い止めるでした。しかし本当の大義は腐りきったJALを建て直せば苦境に陥っているすべての日本企業も奮い立つてくれはずだ。そこから日本を変えられると言われています。
京セラフィロソフィーの中でもう一つ紹介したいのに「人生方程式」があります。
人生方程式=能力×熱意×考え方。いくら能力があり熱意があっても考え方がマイナスなら出てくる答えはマイナスになる。「考え方」こそが人生を決め、運命を変え、仕事の結果を生み出す。だから「考え方」を高めていこう。と稲盛先生は説かれるのです。
先ほどお話した3人先生と根本は全く同じだと思います。
最後に稲盛和夫先生も好きで私も40年ぐらい前に感動した「詩」をご紹介して私の卓話といたします。

サミエルウルマン「青春」より
青春とは人生の或る時期を言うのではなく
心の様相を言うのだ。
優れた創造力、逞しい意志、燃ゆる情熱、
怯懦を退ける勇猛心
安易を振り捨てる冒険心、
こういう様相を青春と言うのだ
年を重ねるだけで人は老いない。
理想を失う時に初めて老いが来る
歳月は皮膚のしわを増すが
情熱を失う時に精神はしぼむ。
人は信念と共に若く 疑惑と共に老いる
人は自信と共に若く 恐怖と共に老いる
希望ある限り若く 失望と共に老い朽ちる


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