活動報告

第17回例会卓話「最近の株式市場」

2019年11月01日

「最近の株式市場」
加藤秀夫会員

本日は「最近の株式市場」という演題での話になります。平成の株式市場は多くの事件があり、その度に大きな壁を乗り越えて世界経済は発展しました。
その経済の「血圧」といわれるのが「株式市場」です。平成時代の30年間で世界経済と株式市場は大きく変化し拡大しました。しかし、日本だけは経済も株式市場も世界的な成長からは大きく出遅れています。なぜでしようか?
このことを株式市場から検証してみます。

①拡大する個人金融資産(日米比較)
「日本の個人金融資産」
2019年の個人金融資産は「1800兆円」を超えました。
長く続いている異次元金融緩和下でも平成時代を通じ伸びています。
ちなみに、平成元年の個人金融資産は約600兆円でした。
30年で3倍になりました。これは、「消費を抑えて貯蓄に励む姿」の現われです。

上の表は日米の個人の金融資産比較になります。表で見て判ることが2つあります。
1つは日米の金融資産の増加率のスピードです。アメリカは日本の倍のスピードで増加しています。
増加率は日本が1.54倍。米国は3.77倍。(注 表の3.32倍は誤表示。)
2つ目は金融資産分類になります。
日本は世界的に稀な「現金主義」、つまり預貯金が圧倒的な比率です。
ほぼ、金利のつかない取引口座に5割以上の金融資産が眠っています。
「眠れる森の美女ならぬ、眠れる森のお宝。」ですね。
アメリカは株式・債券・投資信託・その他の比率が圧倒的ウエートです。(約80%)
また、日本の場合「勤労所得と金融所得の割合が「8:1」アメリカは「3:1」です。
アメリカは圧倒的に金融所得(不労所得)による成長が高い事実がわかります。
過去、30年間で日米の差は大きく開きました。そしてこの傾向は他国との間にも起こっています。
「GDP成長率と比較」
次に日米を中心としたGDP(経済成長率)は次のグラフのようになります。
先ほど言いましたが株式市場は経済の「血圧」であると言いました。
日本とアメリカのGDPの比較と株式市場の時価総額は一致しています。
   
GDPの70%がサービス業のアメリカの伸び率と製造業中心の日本の差は歴然としています。
また右表のように中国の躍進が目立ちます。
「個別銘柄の時価総額ランキング推移」
次に具体的に株式市場時価総額上位の個別銘柄の変化を見てみましょう。
この表は時価総額上位50社を比較したものです。(この用紙には記載せず。)
1990年代は圧倒的に日本の会社が上位をしめていました。
しかし、30年後は劇的変化が起こっています。
30年前は「起業すらされてない会社」が圧倒的な力をつけました。
日本の企業でもごく一部の企業は成長しましたが大きな変化には対応出来ませんでした。
この事は、日本としての国策がもたらしたものでもあります。
そして、世界経済の環境変化が常態化している事実があります。
もはや、この差を埋めるには一つの国が頑張っても無理かもしれません。
  
この現象を株式市場で検証しますと
①基本はGDP成長率に比例する株式市場。
②東京証券取引所の上場会社数は大きく伸びた。→ある意味ダメ。
③反対にNY・NQ両証券取引所に上場している会社は大きく減少した。→競争原理。
④東京証券取引所の売買主体は個人・外人売りの日銀・企業の買い。→PKO相場。
⑤海外の証券取引所と東京証券取引所の中身は「まったく正反対」という現実。
  
「世界的な株式市場」の流れ
①大膨張してしまった資金の運用先(受け皿)としての株式市場。
②決済手段としてのアメリカドルがアメリカに回帰。
③AI(金融工学)による自動売買。1億分の1秒の競争。

主体別売買動向と上場会社数の推移
 

◎日銀によるETFの購入
 

今後の株式市場(日本)
①やはり経済成長が基本。→輸出主導からサービス・金融への展開へ。
②個人投資家が主役になる制度改正。→相続税改正。
③外国資本の本格参入のための制度改正。TOBが激増する。
④日銀の金融緩和とETF購入の幕引きのための政策。

リーマンショック後の世界的金融緩和状態は「アメリカ」「日本」だけの問題ではなく
EU経済圏や中国を中心にした東アジア圏も同じです。
おそらく、金融当局者は「どうしょうか?」と悩んでいます。
しかし、経済学的特効薬はなく、「株式市場」という大きな受け皿に頼っている状態です。
進化を続ける金融市場では、いつの時代でも栄枯盛衰が起こり、新しいプレイヤーが誕生しています。 
しかし、「個人投資家」だからこそ柔軟な頭脳と決断力で成長できるのです。
今、起こっている大航海ドラマの主人公になりましよう。
こんなに面白いドラマは二度とないのですから。         以上。


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