活動報告

第38回例会卓話「江戸しぐさは繁盛しぐさ」

2015年04月17日

「江戸しぐさは繁盛しぐさ」
スマートコミュニケーションズ代表  篠原あかね様

江戸しぐさという言葉をご存知の方も多いと思います。多くの方は、江戸しぐさ=マナーと思われるようです。しかし、本来江戸しぐさは江戸商人たちの商売繁盛の秘訣を説いた実践哲学です。
この江戸しぐさが庶民にまで定着したのが、1804年~1830年ごろと言われています。当時の江戸の人口は100万人を越えており、町人の多くは何らかの商売で生計を立てていました。
日本橋、京橋、新橋は3大特別大橋と言われ、この界隈の目貫通りで商いをしている大店の主たちが、この江戸しぐさの主人公です。彼らは、商売繁盛のために様々な知恵を絞り、そして暖簾を守り続けることこそが最も大切であると考えていました。後継者となる子弟はもちろん、従業員教育にも力を入れました。経営者としての心得を、口頭で教え伝えた内容が「江戸しぐさ」です。そしてこの心得は、江戸という狭い土地に暮らす町人にとってお互いを思いやり、気持ちよく暮らすためのコミュニケーション術としても浸透していきました。

さて、卓話では「べからず講」についてお話をさせていただきました。江戸しぐさで言う「べからず」とは「することは恥ずかしい」という意味です。経営者として、「このような事態は恥ずかしいことです」と捉えていただければと思います。

①江戸商人は、「こんなはずではなかったと言うべからず」
まさかこんなことが起こるとはと言わない。想定外はない。
常に一歩先を読むことが大切である。

②江戸商人は、「人がいいから倒産したと言うべからず」
江戸しぐさでは「人がいい」=いてもいなくてもいい人という意味。
愚か者は思慮が足りずに騙されやすい。

③江戸商人は、「如何にしたらよいか解らないと言うべからず」
経営者たるもの、自分の頭の中を他人に悟られないように気をつけなくてはいけない。

④江戸商人は、「老者(講師、長老、主宰などに)手紙を書くべからず」
老者は日々忙しくしているので手紙を書けば、相手は返事を書かなくてはいけないと思ってしまう。そのような手間を取らせるべきではない。

⑤江戸商人は、「見て解ることは言うべからず」
見てわかることをそのまま言うのではなく、もう一つ先を読んでそれにふさわしい言動をする。例えば、汗をかいている人には冷たいおしぼりや飲み物を提供するなど。

⑥江戸商人は、「忙しいというべからず」
忙しいは心をなくすと書く。心を亡くすと「でくのぼう」と同じ。(でくのぼう=木偶の坊 人形のこと)だから忙しいとは言わない。

⑦江戸商人は、「みだりに人を紹介すべからず」
人を紹介するとは自分の信頼・責任に関わることである。
また紹介に頼るのではなく、自分から人脈を広げることも大切。

⑧江戸商人(料理屋、薬屋)は、「病にて死ぬべからず」
料理屋が病で死ねば伝染病を恐れて客足が減る。同じく薬屋も病で死ねば、この薬は効果がないと思われ客足が減る。商売は常に真剣勝負。プロ意識を持つことが重要。

⑨江戸商人は、「人柄に惚れるべからず」
悪い人でも良い商品を売っていることもあれば、良い人でも粗悪品を売っていることもある。だから本当に良い商品を見抜く真贋力が必要。

⑩江戸商人(女性)は、「おすそ分けすべからず」
女あるじは必要な人数分を把握して料理をすべきであり余らせてはならない。
余るということは、予測ができていないと思われてしまう。

⑪江戸商人は、「言っても役立たずの言葉は口にすべからず」
実際の行動が伴わないことは言うべきではない。頭で思ったことは行動に移すことである=知行同一

⑫江戸商人は、「本当にしてならない時はざるべからずという」
本当にしてはいけない、ここ一番の時にはハッキリと「~しない」と明言する。
信念にそぐわないことであるならば、命令に背くことも大切である。


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